廃業から一転 ネットで復活した地方ダンボールメーカーの秘策売ってなんぼ! 中小企業の顧客獲得作戦(2/3 ページ)

» 2005年12月06日 08時12分 公開
[木村玲美,ITmedia]

顧客の立場で新規取引の不安を解消

 製造を比較的手の掛からない小箱に特化させ、新しいターゲット顧客を大きく2つに分類して設定した。(1)ネットオークションを通じて音楽CDやゲームソフトのパッケージなどの個人売買を行っている人、(2)雑貨製造業など少ロット、規格外の小箱を必要とする事業者――の2つだ。「少ロット、低価格、短納期(規格品即日発送、注文品翌日発送)の要望に応えよう」「ネットを生かせば需要は全国にある」と考えた。

 顧客がネットを介して取引するには、地方の名も知れぬ小規模事業者では当然不安もあるだろう。そこで、顧客の不安リスクを自社で負うことに決めた。その試みが「試作品無料」「料金後払い」だ。幸い少ロットしか注文を受けないので、万一代金が回収できなくても大きな痛手にはならない。

 だが結果として、発注を試作品製作の条件とはしていないにもかかわらず、9割の顧客に試作品送付後に正式発注してもらえた。これまで代金の未回収も500件に1件程度の割合に過ぎない。

ネットを通じて顧客と出会う

 雑貨販売業などの事業者顧客との出会いには、前回取り上げた雑貨関連のマッチングサイト「ザッカネット」を活用した。ザッカネットには、写真掲載などが可能な有料会員と、そうでない無料会員があったが、ダンボールは見た目はさほど重要ではないので無料会員として利用した。

 そのほか、事業者の見込み顧客に向けては、メールによるダイレクトメール、SEO(Search Engine Optimization)などもできる限り行った。ターゲット顧客の集まるネットオークションにも出店し、企画した新商品を出品して、反応を見てから商品化するなど工夫した。また、ダンボールの切れ端一山、ダンボール小箱一式一山で出品してみたら意外に好評なことも分かった。このようにして、顧客は徐々に増え続けていった。

ネットが入り口でもリアルな付き合いも大事

 インターネット販売も対面販売と変わらない。急いでいる顧客には、徹夜仕事をして隣の県まで翌朝一番で軽トラックで届けたこともある。その結果、顧客から非常に信頼され、その後も定期的に発注をもらえるだけでなく、ほかの顧客も紹介してもらえるようになっていった。

 また、発注をもらった顧客にはリピーターとして付き合ってもらえるよう、商品の満足度を尋ねるメールなどをまめに発信し、コミュニケーションを密に取ることも心掛けている。

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