Google、エンタープライズ攻略へ(2/2 ページ)

» 2005年12月06日 09時52分 公開
[Shelley Solheim,eWEEK]
eWEEK
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 Googleでは、ユーザーがプライバシーに関して懸念を抱いていることを認めながらも、同社の事業は信頼の上に成り立っているとしている。

 Googleの製品管理ディレクター、リチャード・ホールデン氏は、「ユーザーの懸念は理解できるが、Googleはコンシューマーおよび広告主と信頼で結ばれているという見方もある。われわれが提供する価値は、この信頼関係に基づいている。われわれがコンシューマーや広告主に対し、その信頼を悪用するようなことがあれば、彼ら、すなわち顧客をすぐに失うことになるだろう」と話している。

 Googleの企業向け検索アプライアンスは、エンタープライズ市場で大きな基盤を確保しておらず、やはり一部の潜在顧客の間では、セキュリティに対する懸念があるようだ。

 独ミュンヘンにあるSiemens Power Generation Group(Siemensの子会社)のビジネスプロセスエンジニアリング担当マネジャー、ポール・ステュワート氏は、「多数のエンタープライズシステムと連携するようになれば、対応しなければならないセキュリティレイヤも多くなる」と指摘する。

 「エンタープライズシステムの多くはアクセスコントロールを実装しているため、これらに対応し、適切な権限を持った人だけがアクセスできるようにする必要がある。この点に関しては、Verityのような企業向け検索エンジンの方が、インターネット検索技術よりも強力なソリューションを提供している」と同氏は話す。

課題に取り組むGoogle

 Googleによると、同社はこういった問題に対処しているという。

 Googleのジルアード氏は、「認証に関して言えば、Windowsベースの認証フォームやシングルサインオンなど、すぐに使える機能を提供している。また、ユーザーが使用しているセキュリティソリューションをそのまま使えない場合でも、それを容易に連携するためのAPIも実装した」と話している。

 「今後も機能の充実を図るつもりだ。われわれは最近、クライアントサイドの証明書を追加した。これは、適切な権限を有する人が適切なコンテンツにアクセスするようにするための新たなアプローチである」と同氏は付け加える。

 サービスに関しては、Googleでは顧客にサポートを提供するとしているが、プロフェッショナルサービスはサードパーティーに任せる方針だ。

 「サポートとプロフェッショナルサービスは異なるとわれわれは考えている。当社にはワールドワイドのサポート組織があり、顧客の疑問や問題に対応しているが、プロフェッショナルサービスは提供していない」とジルアード氏は話す。

 「当社の製品はエンドユーザー用にデザインされており、ユーザーはそれをネットワークに組み込めば、われわれの手助けがなくても利用することができる。その点が、他社の検索ソフトウェアとは異なるところだ」(同氏)

 さらに同氏は、「とはいえ、ユーザーがもっといろいろなことができるよう、われわれはさらに多くの機能やAPIを追加するつもりだ。サードパーティーとの協力関係を構築する作業も開始しており、パートナープログラムを機能拡張の手段として利用するもりだ」と付け加えている。

 不十分な点や改良すべき部分も幾つかあるが、GoogleはWeb検索からエンタープライズ検索の分野に見事にジャンプしたと考えている顧客もいる。

 ミネソタ州ブルーミントンにあるPLATO Learningで企業広報を担当するディレクター、テリー・リン・レーデン氏は、「Googleがコンシューマー向け検索の分野で提供した素晴らしい技術を、当社のビジネスニーズに適合させるこができた。これは、社内で開発したものや他社の製品を利用するよりもうまくいった」と話す。

 PLATOでは、自社のイントラネット、Webサイトおよび顧客サポートサイトに検索機能を組み込むために「Google Enterprise Search Appliance」を2カ月前から利用している。

 Googleはすでに、企業内で同社が活躍できるほかの分野にも目を向けている。

 「企業の内部には、必要なデータや情報の多くが、別個のサイロ(情報の孤島)に閉じ込められている。われわれは現在、検索対象をこれらのデータサイロにも拡大することを目指した構想を進めている。メインフレームシステムへのコネクションを追加するパートナーもいる。これらすべてを当社だけでやろうとは考えていない」とジルアード氏は話す。

 「こういった分野を何年も前から手がけている仲間を利用しない手はない。彼らは、当社にはない技術をたくさん持っている」とジルアード氏は付け加える。

 「しかし当社では、1つの機能を提供することに鋭くフォーカスしている。それは非常に良質な検索結果だ。分類機能など多数の機能を提供している競合企業もあるだろうが、それが付加価値になるとは思えない。当社は異なる理念で臨んでいる。その辺りを人々に理解してもらいたいと考えている」(同氏)

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