米海軍がSun Ray採用拡大――シンクライアント装備は160隻への計画も

2002年、第二艦隊旗艦のマウントホイットニー上で行われたSun Ray実証試験は成功した。米海軍は全海上艦船に拡大する計画を進めている。Trusted Solarisとともにセキュアなネットワークが求められているのだ。(IDG)

» 2005年12月19日 16時29分 公開
[IDG Japan]
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 米海軍では、160隻の艦船からなる海上艦隊のITシステムのアップグレードを進めている。

 かさばるPC、連携のない複数の船内ネットワーク、延々と引き回された配線を、シンプルで管理がしやすく、セキュリティにも優れたSun Microsystemsのシンクライアントシステムにリプレースするという。

 サンディエゴの米海軍基地に勤務するシステムエンジニア、ブライアン・ヘッジズ氏によると、「Sun Ray」シンクライアントシステムにより、海軍は既存の船内ITシステムを簡素化することができると語る。サーバや、乗組員が利用する個々のネットワークなど、最低限必要な機器へと削減できるからだ。

 同盟国の乗組員たちも「米海軍の艦船で移動するため、各国の軍事拠点との通信を可能にする7系統以上の船内ネットワークが必要だった」(ヘッジズ氏)

 これらのネットワークは、それぞれ専用のサーバ、配線、PCを必要とし、ただでさえ限られた船内スペースを圧迫していた。しかし、かさばる古いインフラをSun Rayシンクライアントおよび新しいサーバでリプレースし、Sunの高セキュリティ型OSである「Trusted Solaris」を使用することで、海軍は多数のハードウェアを取り払って配線を簡素化することが可能になる。

 これらのシンクライアント端末は、ユーザー名やパスワード、そのほかの認証手段によってログインする複数の乗組員で共有できるため、各艦船に必要な端末の数が少なくて済み、スペースも節約できるという。

 Sun Rayは、米国の同盟国の海軍が使用する複数のネットワークと通信することもできる。ヘッジズ氏によると、現状では、米軍の艦船に乗船している同盟国の乗組員と通信するために、各国は専用のネットワークを艦船に配備しなければならない事情があるという。

 「シンクライアントを使用すれば、機器の設置スペースとハードウェアに必要な電力を大幅に減らすことが可能になる」と同氏は話す。ソフトウェアのアップグレードをはじめとするシステムメンテナンスもサーバ上で行うことができ、個々のPCの前へ出向いて手作業でメンテナンスする必要もなくなるという。

 2002年に第二艦隊旗艦のマウントホイットニー上で行われたSun Rayシンクライアントの実証試験は成功した。現在、米海軍ではこのプログラムを全海上艦船に拡大する計画を進めている。ヘッジズ氏によると、これまでに3艦に新システムを配備したという。

 このプロジェクトに際して検討の対象になったベンダーはSunだけだったという。これは、すでに同社がTrusted SolarisのOSによって、セキュリティに関して高い評価を得ていたからだ。米海軍では新システムのコストを明らかにしていないが、Sunによると、システムにアクセスするユーザーおよびネットワークの数によってシステムの価格が異なるという。

 Sunで米海軍担当販売マネジャーのマリオ・ディアス氏によると、各艦船ではTrusted Solarisが動作する2台のサーバを使用することによって冗長性を実現しているという。Microsoft OfficeなどのWindowsベースのアプリケーションへのアクセスは、Trusted Solarisサーバの背後に別途配備されたWindows Serverを通じて提供される。「このシステムは、LinuxやUnix、メインフレーム上で動作するアプリケーションも提供することができる」(ディアス氏)

 ユーザーがシンクライアント上でログインし、認証されると、ユーザーにとってはWindows 2000のデスクトップを使っているように見えるという。

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