この失われた10年で、日本企業のとった行動とは、資産のオフバランス化、開発のスピードアップ、人材のポートフォリオのシフトの三つを進めてきたと、野村総合研究所の大森寛文氏は分析する。工場信託や匿名組合契約などの?持たざる経営償wや、コンカレント開発によるプロセス改革などで、常に変化する経営改革が推し進められてきた。
危機感を感じつつも着手できない企業の本音
日本の工場や開発現場では、人と人とがナレッジを持ち寄って話し合い、柔軟に開発を進める「擦り合わせ方式」の開発手法がとられていたが、IT化やモジュール化、標準化によるインタフェースを決めて開発する「グローバル方式」が主流となりつつある。大森氏は、「その日本の持ち味である、形式知化できないナレッジがベテランほど多く存在し、その団塊の世代が、いままさしく抜けようとしているところに、2007年問題の本質があります」と語る。
企業の就業ポートフォリオも、コア人材(現役正社員)のパイを縮小する傾向にあり、所属も処遇も、そして企業文化も違う外部スタッフと働くことが当たり前になって、いままで以上の効率を求められる。そうなると、社内でもコミュニケーションが滞りがちになり、モチベーションが低下する問題も起こり始めているという。
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