「60歳定年退職制度」で露呈する企業の諸問題を検証する構造改革としての2007年問題(2/4 ページ)

» 2006年01月01日 02時36分 公開
[ロビンソン,メディアセレクト]

定年退職者からのスキル継承の必要性を9割が認識

 この失われた10年で、日本企業のとった行動とは、資産のオフバランス化、開発のスピードアップ、人材のポートフォリオのシフトの三つを進めてきたと、野村総合研究所の大森寛文氏は分析する。工場信託や匿名組合契約などの?持たざる経営償wや、コンカレント開発によるプロセス改革などで、常に変化する経営改革が推し進められてきた。

危機感を感じつつも着手できない企業の本音

 日本の工場や開発現場では、人と人とがナレッジを持ち寄って話し合い、柔軟に開発を進める「擦り合わせ方式」の開発手法がとられていたが、IT化やモジュール化、標準化によるインタフェースを決めて開発する「グローバル方式」が主流となりつつある。大森氏は、「その日本の持ち味である、形式知化できないナレッジがベテランほど多く存在し、その団塊の世代が、いままさしく抜けようとしているところに、2007年問題の本質があります」と語る。

野村総合研究所 業務革新コンサルティング部上級コンサルタント 大森寛文 氏。専門領域は、事業戦略コンサルティング、事業改革、業務改革コンサルティング、経営改革コンサルティング。主要担当プロジェクトには、環境分野における自社製品の事業戦略策定支援(環境エンジ会社)、退職人材の再活用方策の検討支援(通信関連会社)、情報子会社評価と経営改革提言(通販会社)などがある。

 企業の就業ポートフォリオも、コア人材(現役正社員)のパイを縮小する傾向にあり、所属も処遇も、そして企業文化も違う外部スタッフと働くことが当たり前になって、いままで以上の効率を求められる。そうなると、社内でもコミュニケーションが滞りがちになり、モチベーションが低下する問題も起こり始めているという。

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