文書の電子化に踏み切る前に、知っておきたい電子文書の特性：e文書法の活用術（2/3 ページ）

[佐藤慶浩，ITmedia]

機密性

　機密性に関しては、一般に情報セキュリティの課題として知られている範囲のことを行うものとして、報告書では詳細を示していない。ただし、漠然とした情報を対象とした課題ではなく、対象が電子文書であり、文書は人が読み書きするものであることから、アクセス記録としてのログデータの保存機能やアクセス者のID管理などを特に意識するように明記している。

検索性

　情報セキュリティの範ちゅうに入らない電子文書特有の要件として、検索性が挙げられる。紙文書でも必要な文書を効率的に探し出せる必要性は高いが、紙文書は自然と時系列に蓄積されやすいこと、物理的に所在が分かれば内容を確認できるという特徴がある。それに対して、電子文書は機械的な検索がしやすい半面、意識的な配慮をしておかないと検索が効率的にできなくなる特徴を持っている。

　例えば、保管時の容量の節約や機密性確保のために、圧縮や暗号化を行っていたり、文字コードが複数種類混在していたりする場合などは、時系列的な取り出しはできても、紙文書に比べて必ずしも効率的な検索を行って取り出せるとは言いきれない場合がある。

報告書が言及しなかった特性「原本性」

　最後に、報告書が言及しなかった特性についても紹介したい。もちろん言及していないからといって、何もしなくてよいということではない。その理解を誤ると、企業における文書の電子化戦略は、大失敗することになる。それだけに、この報告書で定めていないことについても正しく理解することが重要である。