Secure Shellが標準化に向けて一歩前進Focus on Technology(2/2 ページ)

» 2006年02月02日 16時53分 公開
[Joe-'Zonker'-Brockmeier,japan.linux.com]
SourceForge.JP Magazine
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相互運用性

 多くのLinuxユーザーが、この標準規格のドラフトはOpenSSHと互換性があるのか、疑問に思うだろう。OpenSSHはMac OS Xを含めたBSDの派生種とLinuxディストリビューションのほぼすべてでデフォルトのSSH実装になっており、現在使用されているSSHにおいては最も影響力の大きい実装といえる。

 ミラー氏によると、OpenSSHプロジェクトは、英NetcraftによるWebサーバ調査と同じような定期的調査を行い、OpenSSHおよびほかのSSHの実装を利用しているサーバ数をそれぞれ測定しているという。この結果はOpenSSHが断とつの首位であることを示している。最後に行われた測定結果は2004年9月のものだが、まもなく公表されるはずの最新の結果ではOpenSSHがサーバ市場の85%以上を占めるだろう、とミラー氏は話している。

 実際には「OpenSSHとほかのフリーな実装との間」には大きな問題は見当たらなかったものの、OpenSSHとSSH Communicationによる実装の間では幾つか問題が報告されていたとミラー氏は述べている。「SSH Communicationからライセンスを取得しているわけではないため、彼らのコードをこちら側のシステム周辺のどこかで利用することによって、われわれがフリーで提供している開発成果に影響を与えるわけにはいかない」と彼は語る。

 OpenSSHチームの関心は、SSHプロトコルのほかの実装との互換性を維持することにある。セキュリティについて妥協することがないかぎり、われわれOpenSSHチームは標準のSSH仕様に反するあらゆる点の修正に注力するだろう、とミラー氏は述べる。また、「もし特許化された手法や高度な複雑性が必要であったら、あるいはただ沈黙を守るように要求されていたとしたら、われわれのチームはこの標準規格への準拠または機能をむやみに追い求めることはなかっただろう」とも彼は話している。

 残念ながら、IETFは標準規格に特許化された手法を認めている。リンネ氏は、この標準規格に「関連して使用される登録特許または出願特許の存在」は認識していたが、中核となるSSH標準規格における特許権はまったく認識していなかった、と語っている。

 ワークグループのいずれかのメンバーが標準規格の核心にかかわる特許を所持していたら、その内容は知的財産権(IPR)の声明書で開示されていただろう、とリンネ氏は説明する。「この件についての唯一のIPR声明書はSSHがわれわれの商標であるというものであり、商標権を主張する者はその点に言及しなければならないとIETFが定めているため、そのように言及している」と彼は述べている。

どんな変化が起こるのか

 SSHはすでに十分に定着したプロトコルなので、IETFで標準化されることに本当に意味があるのか疑問に思われるかもしれない。ミラー氏は、SSHが標準化されることは重要だが、「RFCとして公開されたとしてもすぐに変化が起こるとは思えない」と語っている。

 「この2年間でワーキンググループがSSHプロトコルに加えた変更は実質1つか2つに過ぎない。活動のほとんどは単なる言い回しのことで無駄に費やされている。そのため、最近2年間にこのプロトコルのドラフトに準拠するように書かれた実装はすべて、すでにRFCに準拠している」と彼は説明する。

 しかし、このSSHプロトコルの中枢部が「公式なもの」になりつつあるという事実に大いに注目している組織も存在する。リンネ氏は次のように指摘している。多くの政府機関では、行政上の問題として、導入する製品が公表された標準規格に準拠している必要がある。「この点において、今回の一件は一般の人々が想像している以上に意味がある」とのことだ。

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