「サポセン」とどこが違うのさ?コンタクトセンターが企業の顔になる(1/2 ページ)

僕は30余年の東京住まいを止めて、佐渡島に住んでいる。近所にコンビニはないが、必要なものは居ながらにして買える。日本のビジネスも進歩したものだとつくづく思う。そのポイントとなるのがコンタクトセンターだ。

» 2006年02月10日 08時48分 公開
[土屋晴仁,ITmedia]

 オンラインムック「コンタクトセンターが企業の顔になる」

土屋晴仁(編集者/ジャーナリスト)

 高度に成熟した社会ではビジネスの仕組みも相応に進化する。その進化のベクトルの1つが「顧客志向」であり、顧客の満足度を高める施策が重要視されてきている。顧客からの注文、問い合わせ、苦情などを受け付けるコンタクトセンターが、この10年間で急速に普及しているのもそのためだが、どんな思惑で、どんな仕組みで、どう運営されているのか、よく分からないところもある。

 そこで「今どきのコンタクトセンター事情」を探って、全6回に分けてレポートしてみることにしよう。

  • 1. 「サポセン」とどこが違うのさ?
  • 2. 一体、どこまで進んでいるの?
  • 3. この電話、大連につながってるの?
  • 4. もうコストセンターとは言わせない!
  • 5. 「ゴミの山」が「宝の山」に変わる?
  • 6. 経営者とベンダーの暗闘がある?

 僕は30余年の東京住まいを止めて、今、佐渡島に住んでいる。それも小さな村では、東京ならどこでも見つけられるコンビニや本屋が、近所にはない。しかし、PC、本、家具さらに全国の「旨いモノ」に至るまで、生活する上で必要だと思えるものは居ながらにして買え、数日後には届けられる。インターネットと通信販売サービスとカードと宅配便のおかげだ。日本のビジネスも進歩したものだとつくづく思う。

ビジネスの進歩で、辺境でも手に入る便利さと安心

 進歩したと思えることがもう1つある。買ったモノや受けたサービスについて、疑問や苦情が生じた場合、それを持ち込む窓口を企業が用意するようになったことだ。

 「お客様サービス係」とか「テレフォンセンター」「コールセンター」「コンタクトセンター」などなど。名称はさまざまだが、要するに、顧客対応の接点(コンタクトポイント)だ。これがあるから辺境住まいでも便利さと安心が手に入る。

 この状況は進歩というより進化という方がいいかもしれない。24時間無休のオペレーションや、注文から配送まで一貫した仕組み、電話と顧客の履歴を連携させるシステム……。どれも一朝一夕にできるものではなく、大変なコストと手間と知恵、ノウハウが必要だ。旧来のビジネスとは質まで違う。その積み重ねが日本の全ビジネスのレベルを進化させている。今や、「顧客満足度」は重要な経営指標になり、コンタクトセンターはその有効な施策と見なされて、企業のみならず病院や自治体にも導入されるようになってきた。

 ネット通販の普及や、さまざまな業種の企業がこぞってコンタクトセンターを置くようになった状況は、各種の統計からも分かる。現在、3兆円を超えた通販市場は、2007年には3兆6795億円規模になり、その4割を携帯電話を含むネット通販が占めるという(*1)。

 コンタクトセンターについての大規模な調査結果はないが、多くはインハウス(社内)で運営しているという。ただし、2割ほどはテレマーケティング業者にアウトソーシングされているといわれ、この分は分かる。2003年の全体売り上げは1934億円、3年前の約32%増だ。ここから推計すると、日本の「コンタクトセンター」の市場規模は5000〜6000億円だろう。これが2010年には約8350億円になるとの予測もある(*2)。

コールセンター、サポセン、そしてCC

 このシリーズではあまりカタイ話を書くつもりはない。「コンタクトセンター業界人」向けの話よりも、ユーザー視点で抱く素朴な疑問を調べてレポートし、企業が顧客満足度を高めるためのヒントになれば、と思う。そこでまず、こんなことから……。

 「コンタクトセンターとコールセンター、サポセン(サポートセンターの俗称)はどう違うのか?」

 この質問に答えてくれたのはITベンダーの友人Sくんだ。今後、彼を「業界くん」と呼ぼう。

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