規制の圧力にはECMで立ち向かえ!エンタープライズコンテンツ管理のすすめ(1/2 ページ)

オフィスの環境を見渡してほしい。企業内では、さまざまな形態の情報が利用されている。これら情報の活用を図る一方で、近年、規制の圧力が適切な管理を求めている。

» 2006年02月13日 08時45分 公開
[渡邉利和,ITmedia]

規制とナレッジの共有が牽引するECMの今

 ECMが注目されるようになったのは、企業が扱う情報量が膨大になり、かつ年々確実に増加の一途をたどっているという企業側の事情に加え、コンプライアンス(法令順守)や業務統制を強化する昨今の法規制面での変化が大きく影響している。文書の保存が義務づけられ、さらに「文書」の定義も拡大しているのだ。

 コンプライアンスという点では、米国での事件を踏まえた電子メール保存の義務化などが代表的な例だ。従来は特に保存の必要もなく、個々のユーザーの判断に任せている例が大半だった電子メールの処理だが、保存の義務が課せられるようになると、保存すべきデータ量が急増するのは容易に想像できる。電子メールの保存義務はすべての企業に一律に課せられているものではないが、電子メールの企業活動における重要性や、コンプライアンス強化の動きを見ると、今後すべての企業に対し一律一定年限の電子メール保存が義務づけられる可能性もあり得る。

 米国では、SEC(Securities and Exchange Commission:米国証券取引委員会)が金融機関などに電子メールの保存を義務づけている。言うまでもないことだが、これは単に“歴史”として保存してあればそれでよいということではなく、SECが必要と認めた場合には企業に対して関連する電子メールの記録を提出するよう求めてくる。筆者が米国で聞いた話では、SECの指示に従って関連する電子メールを抽出し、資料としてまとめて指定期日までに提出するのは大変な労力を要する作業で、IT部門のスタッフが総掛かりで、ほかの作業を完全にストップしてまで取りかからなければ間に合わないほどだったという。このため、適切なアーカイビングソリューションを導入して効率的に管理できるようにしておかないと、業務に支障を来す可能性さえある。

 一方、単に「規制だから仕方ない」という受け身の姿勢で終わるのではなく、もっと積極的にメリットを引き出そうという考え方もある。企業の内部には、明確に文書化され、整理された情報以外にも、現場で蓄積された仕事の進め方のノウハウなど、さまざまな有益な情報が蓄積されている。これらの多くは整理/体系化るることなく当事者間で共有されているが、こうした知識をきちんと収集して活用できるようにすることで、企業の競争力を高めることができるのではないかという考え方だ。

 オフィスの環境を見渡してほしい。企業内では、さまざまな形態の情報が利用されていることが分かるだろう。これらは、技術の進歩やシステムの変化に伴って、記録メディアやデータ形式などにさまざまな違いを生じさせている。

 紙の書類のみというところから、独自形式で保存された磁気テープがあったり、特定のアプリケーションのファイルフォーマットで作成されたデータファイルとしてHDD上に保存されていたりする。こうした情報を参照するには、異なるメディアから読み出し、それぞれ適切な手段(アプリケーション)で表示しないと内容を確認することができず、大変な手間が掛かる。また、そもそも電子化されていない紙の書類では、多くの場合人間が直接目で見て確認していくことになるだろう。

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