AMDのプロセッサとテクノロジを利用したソリューションで協業 一層のパフォーマンス向上を狙う

2005年10月から12月期のマイクロプロセッサ出荷に占めるAMDのシェアが20%を越えたという報告が出た。AMDのプロセッサは64ビット対応やデュアルコア化で他社に先駆け、その高いパフォーマンスで評価を受けており、その結果としてシェアの拡大につながっている。このAMDのプロセッサのパフォーマンスをさらに引き出すソリューションとして、ビジュアルテクノロジー株式会社はAMDのプロセッサに採用された技術を活用したソリューションを提供している。AMDのプロセッサとビジュアルテクノロジーのソリューション、2社のコラボレーションにより、どのようにその潜在能力が引き出されるのか、両社のキーパーソンに話を聞いた。

» 2006年02月17日 15時00分 公開
[ITmedia]
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ビジュアルテクノロジー株式会社

日本AMD株式会社

AMDプロセッサに使用されるテクノロジを活用

――AMDさんのプロセッサシェアが20%を超えたというニュースが出ています。


日本AMD株式会社
マイクロプロセッサ
ソリューション本部
本部長
多田 和之 氏

多田 おかげさまで、ひとつの大きな壁だといわれていた数字を越えました。この大きな理由は、64ビットに対応したアーキテクチャを搭載し、かつマルチコアの製品を出荷したことだと思います。

このOpteronプロセッサの発表は2003年4月なのですが、このときからマルチコアを想定したアーキテクチャになっていました。去年、デュアルコア製品を出荷しまして、他社さんの製品と比較しても企業ユーザーからデュアルコアのスケーラビリティが非常に高い、ということで評価を受けまして、Q3から急激に伸びています。2006年もこの動きは継続すると考えていますので、デュアルコア・プロセッサ搭載のOpteronは今まで以上に加速すると思います。

 マルチコアのユーザーさんからの評価のポイントは、シングルコアと比べてアベレージで1.7倍のベンチマーク結果が出ていること、そして、電力消費の面で、デュアルコアでもシングルコアとほとんど変わらないということで、同じ消費電力で約2倍の性能になるということになります。

 AMDとしては、これを「ワット性能」という言葉に置き換えて、今年はこのワット性能がいかに優れているのかをアピールしていきたいと考えています。


日本AMD株式会社
エンタープライズ
ビジネスデベロップメント部
課長山野 洋幸 氏

山野 Opteron自体は最初からマルチコアを想定したアーキテクチャになっていますので、きちんと1つのCPUとして2つのコアがインテグレーションされています。

 さらに、このデュアルコアのパフォーマンスを最大限に引き出す、ダイレクトコネクト・アーキテクチャが採用されています。その特長の1つがHyperTransportテクノロジであり、もう1つが内蔵メモリコントローラを採用してメモリへのアクセスを高速にしたことです。さらにDDR2メモリへの対応や仮想化機能を実装した新しいOpteronが今年前半に登場予定ですので、一層のパフォーマンス向上が見込めます。さらに4コアのプロセッサも開発中です。4コアに関しても、ただ4コアを詰め込んだだけではなく、4コアのパフォーマンスを引き出せる最適な設計を行っています。


ビジュアルテクノロジー株式会社
エンタープライズ
システム事業部
ビジネスデベロップメント
シニアマネージャ
佐藤 栄 氏

大原 私たちビジュアルテクノロジーはクラスタによって価格対性能比を上げたシステムをオープンスタンダードな技術を利用して構築しています。今年以降重要になるのはマルチコアと高速なインターコネクト技術だと考えています。

 ノード間を繋ぐインターコネクトに関しては、PathScale社のInfiniPathという技術を用いたソリューションを使用しています。この技術と他社のInfiniBandとの違いは、通常のInfiniBandではPCIExpressなどの高速バスにカードを挿して通信を行います。これに対してInfiniPathではHyperTransportテクノロジにダイレクトに接続されるカードを利用して通信を行います。HyperTransportテクノロジはCPUとメモリのダイレクトコネクト・アーキテクチャです。AMDのアーキテクチャではCPUソケット間の通信などにもHyperTransportテクノロジを利用していますので、これをノード間にも広げたものと思えばよいでしょう。HyperTransportテクノロジはオープン・アーキテクチャであるため、標準技術を重視し採用しています。

 これによって、ノード間の通信で発生する遅延を少なくすることができます。大規模クラスタになると、ノード間通信に関しては帯域よりも遅延が問題になります。この遅延を少なくすることで、クラスタをより有効に活用できるようになります。

 このInfiniPathは、将来的にはチップ化してマザーボード上にオンボードで搭載される予定です。

AMDプロセッサの特性を活用し、Linux環境でのパフォーマンスを向上

――もうひとつ、AMDプロセッサのテクノロジを活用するソリューションがあると伺っています。


ビジュアルテクノロジー株式会社
エンタープライズ
システム事業部
ビジネスデベロップメント
マネージャ
大原 康範 氏

佐藤 もうひとつ、Opteron性能を発揮できるようにするものとして、Linux環境上で動作するミドルウェアのVT64 NUMA Optimizerがあります。

 Opteronの優れた点として、先ほど内蔵メモリコントローラを挙げられましたが、他社のアーキテクチャですとCPUとメモリの間にチップセットが存在しますが、OpteronではCPUとメモリの距離が近いということで、メモリアクセスのパフォーマンスが優れています。

 この際、同じCPUの中で、CPUとメモリの間の通信が頻繁に発生するような場合が一番パフォーマンスが出ます。このように同じメモリ領域をアクセスするプロセスを同じプロセッサ上で実行するように割り振るなど、プロセスを割り振る際に最適化を行うことで最大限にパフォーマンスを引き出します。

このミドルウェアを実装することで、2割から3割パフォーマンスを上げることができます。

 Linuxはオープンでスタンダードなものですので、最適化の余地はまだたくさんあると思っています。我々は標準化技術をうまく使って最適化していくというのが、差別化ポイントだと思っています。

 InfiniBandなどはクラスタのための技術という観点が強かったと言えます。来年度以降はマルチコア、特に4コア以上のプロセッサが登場してきます。そうしたときに、この最適化技術がより生きてきます。

 VT64 NUMA Optimizerはミドルウェアなので、カーネルに手を入れることなく高速化が実現できます。カーネルに手を入れてしまうと標準的なものではなくなってしまうので、カーネルには手を入れずにミドルウェアとして実装することで、オープンでスタンダードな環境に対応できます。

協力してOpteronの性能をアピールする

――ビジュアルテクノロジーさんからAMDさんに期待することはありますか?

大原 まず、これだけOpteronのパフォーマンスに対する認知度が高まってくると私たちを含めて需要

の増加が予想されますが、これに対してはどうなっているかという点が気になりますね。

多田 需要の増加に関しては、われわれは去年新たにFab36という工場を稼動させて、順調に生産を

行っております。2008年にはFab30とFab36をあわせて1億個のプロセッサを生産できるようになります。1億個という数字は、現時点でワールドワイドのプロセッサが2億個といわれていますので、市場の伸びを考えても、市場の半分近くの数のプロセッサが生産できるということになります。ですので、何百ノードのクラスタでもどんどん提供できると思います(笑)。

大原 我々としても、今回お話した技術などをもっとオープンにしていきたいと考えておりますので、こういったものをAMDさんと例えば、ベンチマークセンターなどを構築して、顧客に見えるかたちで「AMDさんのプロセッサはもっともっと能力を引き出せるんだよ」ということを見せたいと考えています。

多田 マルチコア化が進んでいけば、同じ筐体のサイズで、性能が2倍3倍になっていきます。クラスタでは、物理的なスペースが増えていきますから、マルチコアの一番のメリットはそこだと思っています。さらにAMDのプロセッサの差別化ポイントとしては、マルチコアでもシングルコアとほぼ同じ消費電力で済むというところがあります。ですので、ビジュアルテクノロジーさんのこのシステムはOpteronのワット性能を最大に引き出してくれるものだと思っています。

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提供:ビジュアルテクノロジー株式会社
制作:サーバセレクト編集部/掲載内容有効期限:2006年3月22日