ノキア・ジャパンがIPシリーズの新製品、将来はUTMへの投資も視野に

ノキア・ジャパンは2月21日、ファイアウォール/IPSec VPNアプライアンス「Nokia IPシリーズ」の新モデル「Nokia IP560」を発表した。

» 2006年02月21日 21時20分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 ノキア・ジャパンのエンタープライズ・ソリューションズ事業部は2月21日、ファイアウォール/IPSec VPNアプライアンス「Nokia IPシリーズ」の新モデル「Nokia IP560」を発表した。「IPシリーズの中でも最もコストパフォーマンスに優れたモデル」と、同社シニアテクニカルマネージャーの安藤正之氏は述べている。

 Nokia IPシリーズは、専用ハードウェアにノキアが独自に開発した専用OS「Nokia IPSO」と、チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズの「Check Point VPN-1 Pro」を搭載したアプライアンス製品だ。SOHOや小規模事業所向けの小型モデル「IP40」から、キャリア/サービスプロバイダー向けのハイエンドモデル「IP2250」まで、幅広いラインアップを提供している。

 新製品のNokia IP560は、従来機種の「同530」同様、中規模から大規模オフィスをターゲットとした製品だ。1Uサイズの筐体に標準で4ポートの10/100/1000BASE-Tポートを搭載しており、最大16ポートまで拡張可能という。基本はコンパクトフラッシュベースだが、オプションでディスクを搭載することも可能だ。今後はこのディスクの冗長化も計画しているという。

Nokia IP560 中〜大規模企業を対象とした新製品「Nokia IP560」

 最大の特徴は、パフォーマンスを大幅に高めている点だ。CPUの高速化やバスアーキテクチャの変更により、ファイアウォールのスループットは最大で6.0Gbps、VPNについても最大1.9Gbpsを実現している。

 「従来機種に比べスループットは約10倍となっており、しかもスペースファクターにも優れている」(安藤氏)。競合他社が提供する同価格帯の製品に比べても、2〜3倍のパフォーマンスだという。ただし、IP710以上のモデルで採用されているホットスワップや電源の冗長化などには対応していない。

 Nokia IP560の価格は341万1450円。2月下旬より販売を開始する。

 ノキア・ジャパンは併せて、IP2250向けに、XENPAK対応の10ギガビットイーサネットポートを1つ搭載できる拡張オプションも発表した。これを活用すれば、複数のLANを束ねた上流でまとめてセキュリティ対策を施す、といった構成が可能になるという。「Nokia IP2250用10Giga Etherカード」の価格は214万2000円。

 市場動向を見ると、ファイアウォール/VPN機能だけを提供するアプライアンスから、不正侵入防御(IPS)やコンテンツフィルタリング、アンチウイルス/スパイウェアといった複数のセキュリティ機能を提供するUTM(Unified Threat Management:統合脅威管理)製品へのシフトが進んでいる。

 ノキアでは、やみくもに複数の機能を搭載しても、パフォーマンス上の問題などが生じることから導入に慎重さは必要だとしながらも、企業を取り巻くさまざまな脅威に対応していくため、「IPSをはじめ複数のセキュリティ機能を提供する、いわゆるUTMにも投資していく」(Nokiaのアジア太平洋地域チーフ・テクノロジスト、アンドリュー・ナンボカ氏)。また、SSL VPNやIP VPNといったコネクティビティを提供する製品との統合も視野に入れているという。

 また日本法人では特に、チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズとの協業を強化するほか、運用管理面の充実に注力。SOX法および日本版SOX法を背景に需要が高まる内部統制やコンプライアンスといった側面に対応する機能も追加していく方針という。

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