CCが営業の要――Oracle Directの場合コンタクトセンターが企業の顔になる(1/3 ページ)

シドニーにあるアジア・太平洋地域のOracle Directセンターは、日本オラクルが電話とインターネットで営業活動するための新たな拠点となるコンタクトセンターだ。

» 2006年02月22日 06時21分 公開
[谷川耕一,ITmedia]

 オンラインムック「コンタクトセンターが企業の顔になる」

谷川耕一

 シドニーにあるアジア・太平洋地域のOracle Directセンターに、15人の精鋭部隊が赴いたのは2003年1月だった。Oracle Directセンターは、日本オラクルが電話とインターネットで営業活動するための新たな拠点となるコンタクトセンターだ。

 Oracle Directが発足してから、3年が過ぎた。発足当初は、ほとんどの社員が、従来の問い合わせ窓口であった「ホットライン」の延長くらいにしか認識していなかった。B2Bで企業向け製品を扱う同社において、電話とインターネットだけを利用した営業活動がそう簡単に成り立つはずはないと考える人がほとんどだったに違いない。

 最初の1年間は、試行錯誤の連続だった。従来のホットラインのインバウンドコール(顧客からOracle Directに掛かる電話)を起点に、アウトバウンドコール(Oracle Directから顧客に掛ける電話)をすることで、まずは顧客との接点を増やす。顧客が何を求めていて、それに対して、電話とインターネットでどう応えていくのか。他国の方法は先行して実績を上げていたものの、パートナー販売を主としている日本市場では必ずしも適合しなかったという。

 Oracle Directは当初、営業はもちろん、製品担当者、技術スタッフなど、それぞれの分野で実績を積んだスタッフ混成部隊で構成されていた。各分野で高い経験値を持つ精鋭部隊と言っていい。Oracle Directにおけるエージェントは、数多くの顧客とのコールをこなすことではなく、顧客といかに深くコミュニケーションが取れているかで評価される。日本の顧客の多くは技術的な課題を抱えているため、当時は技術スキルの高いメンバーが、顧客と内容の濃い会話をすることができたため、高い評価を得る傾向にあった。

 「顧客は不明点をすぐに知りたいと考えています。そのニーズに応えると顧客が自分を信頼してくれることが分かりました。質問に120%の回答を提供していけば、たとえ対面ではなく電話だけで話をしていても信頼される。一度信頼してもらえると、今度はさまざまな話をしてくれるようになりました。そこから、製品を売るためのストーリーが作れるようになったのです」と話すのは、Oracle Directの発足時からのメンバーでもあり、現在はOracle Direct本部長を務める岩田健一氏だ。

Oracle Direct本部長を務める岩田健一氏

 電話越しであっても、売るためのストーリーを意識しながら顧客と会話ができれば、物理的に顧客の目の前にいるか否かは、大きな問題ではなかったという。

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