スイッチに求められる要素は高速性から「サービス」に、Cisco

米Cisco Systemsのデイブ・レオナルド氏によると、スイッチの世界では今、より高度な「サービス」が求められるようになっているという。

» 2006年02月24日 22時37分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 米Cisco Systemsのデスクトップスイッチングビジネスユニットのバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャ、デイブ・レオナルド氏によると、かつてスイッチの世界ではまず何よりも高速性が求められた。しかし2〜3年前からはその傾向が変わり、より高度な「サービス」が求められるようになっているという。

 同社ではこのトレンドを踏まえ、「ワイヤレスおよびモビリティへの対応、セキュリティ、音声/ビデオのサポートといった、これまでのスイッチでは実現できなかったサービスを提供し、スイッチングプラットフォームに付加価値を加えていきたい」とレオナルド氏は述べた。

レオナルド氏 米Cisco Systemsのデスクトップスイッチングビジネスユニット担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャ、デイブ・レオナルド氏

 1つの例が、ワイヤレスへの対応だ。無線LAN環境ではユーザーが移動することにより、同一のセッション中にスイッチの利用ポートが切り替わることがある。そうした変更を検出し、きちんと新しいポートにパケットを振り分けるような仕組みを提供していく。

 また、ローエンドの市場ではどうしても価格競争に陥りがちだが、CiscoではイニシャルコストよりもTCOを重視し、管理性を重視する顧客にターゲットを絞っていくという。

 「重要なアプリケーションが動作するミッションクリティカルなネットワークにおいてはアップタイムが重要だし、一貫性を持って動作し、問題発生時には対処するメカニズムが必要となる。また、ワイヤレスやセキュリティといったサービスを二重重ねで構築すると高く付く。これらをスイッチングプラットフォーム上で提供することにより、大きくコストを削減できる」(同氏)

 こうしてスイッチの機能が高度化していくと、今度は管理が複雑になるという課題が浮上してくる。「管理は常に、われわれにとって最重要課題の1つだ」とレオナルド氏は述べ、現在提供している中小企業向けのネットワーク管理ツール「Cisco Network Assistant」の機能を拡張し、ネットワーク内に分散している複数のスイッチを1カ所で把握できる仕組みを提供していきたいとした。

 管理性はセキュリティとも密接に関連する問題だという。「セキュリティ実装上の大きな問題が、どのようにして設定やポリシーを一貫して管理していくかということ。設定ミスがセキュリティリスクを招くこともある。単一の管理ポイントを持つことはセキュリティにとっても非常に重要だ」(レオナルド氏)

 今後は、ネットワークに入り込んでくるさまざまな脅威を認識し、ポリシー管理機能を補完する形で対処するよう、セキュリティ機能を強化していく方向だ。また「レイヤ3をより効率的に処理できるようにし、導入、管理をいっそう容易にしたい」(同氏)。スイッチが音声トラフィックを認識したうえで適切な帯域やQoSを割り当てるといった具合に、機器側がアプリケーションを把握し、制御していくことも重要だという。

 同氏は、はっきりとした数字は出せないまでも、世界のスイッチ市場はこれから堅調な成長を見せるだろうと予測した。「より多くのネットワークが、動画などのアプリケーションに備えてギガビットに移行するだろう。VoIP要因の1つだ。PoEやQoSをサポートしたスイッチが求められることから、乗り換えが進むだろう。さらに、セキュリティも多くの企業にとって重要な課題であり、最新のセキュリティ機能を備えたスイッチへのアップグレードが進むだろう」(レオナルド氏)

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