SAPで構築する「成長」を支えるビジネス基盤

 不況を脱した日本企業は、今度はライバルに差をつける「攻め」の経営に軸足を移す。一方で、2008年3月に施行が予定される日本版SOX法への対応も含めて、「守り」を固めることも急務の課題といえる。そして、それを支える基盤は紛れもなくITだ。21世紀を牽引する日本の企業は、経営とITの融合に成功した、現在の中堅企業の中から生まれてくるだろう。未来の成長企業をサポートするためにITは何ができるのか。ビジネス・アプリケーションのリーディングベンダーであるSAPジャパンで、営業統括本部・地域営業本部バイスプレジデントを務める神戸利文氏に、中堅企業市場への取り組みについて話を聞いた。

» 2006年03月01日 00時00分 公開
[ITmedia]
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中堅企業の経営者にSAPを勧める際に「今のシステムで今後の成長を支えられますか?」と投げ掛けるという神戸氏

−ITmedia SAPは中堅市場ビジネスをどのように取り組んでいきますか?

神戸 SAPには中堅市場について幾つかの見方があります。1つはコストの問題です。従来、お客様の間に「SAPの導入には大きなコストが掛かる」というイメージがあったのは事実です。しかし、ここ数年、製品の進化と、導入パートナーのノウハウの蓄積、業種テンプレートの拡充により、SAPの製品導入におけるTCOが下がる傾向にあります。結果として、中堅企業のお客様にも、業界のベストプラクティスのエッセンスが詰まったSAPのソフトウェアを導入してもらえると考えています。パートナー様の多くも、大企業だけでなく、中堅市場でも十分チャンスがあるという手応えを感じてきているようです。2つめは、販売チャネルの拡大です。売り上げが100〜1000億の企業が日本に1万社ほどありますが、そこでのSAPのシェアは数パーセントしかありません。パートナー様の力を借りながら、この規模の企業へのアプローチができれば、市場のポテンシャルは非常に大きいといえます。

−ITmedia 競合についてどう考えますか?

神戸 一番の競合相手は、SAP以外のERPベンダーというよりは、企業が自社開発する「手作り」のシステムだと考えています。

依然として多くの中堅企業では、自社のビジネスプロセスに合ったシステムを自社開発・導入し、長期に渡り使い続けています。

しかし、手作りシステムには技術者不足や、新たな法規制への対応といった、ビジネス環境の変化に対応したシステム要件への柔軟性と拡張性が乏しいといった懸念があります。

一方、パッケージソフトは、標準的なコンポーネントをベースに各業種別テンプレートを上手く活用することで、短期間且つ容易な導入が可能となり、変化対応力のあるシステム構築が可能です。また、TCO削減の面でも、手作りシステムより遥かに優れています。その意味で、中堅企業の手作りシステムをいかにSAPの製品にリプレースしてもらうかがわれわれのテーマです。

−ITmedia 現在、中堅企業が抱える特有の問題は何だと考えていますか?

神戸 中堅企業と大企業がそれぞれ持つ課題には実際のところ特別な違いはありません。あえて言えば、人材育成が難しいことと、支出できるコストに限界があることの2つの点が挙げられます。特に、後者の問題に対応するためには、製品導入に掛かる時間を短くして、リスクを低減することがカギになると考えます。

−ITmedia SAPとして具体的に提供する製品は何ですか?

神戸 中堅市場向けという場合は「mySAP All-in-One」が中心になります。

 mySAP All-in-Oneの特徴は、各業界向けにさまざまなテンプレートが用意されていることです。テンプレートには各業界向けにあらかじめ標準的な業務プロセスが定義されており、導入企業は自社の要件に合わせてパラメータを調整することで、システムを構築することができます。そのため、導入するためのコンサルティング費用やアドオン開発費用を劇的に低減することができます。

 さらに、SAPでは2005年に「SAP Best Pracitces」の提供を開始しました。これは、各業界に向けて、最適なビジネスシナリオを実装することを可能にする設定自動化ツールです。アジア太平洋や欧州では爆発的な勢いで利用されており、これを日本でも普及させることが2006年の大きな取り組みとなります。

 SAP Best Practicesの日本語版のうち、SAPのソフトウェアを対象にしたものとして「mySAP ERP 2004版」「SAP CRM4.0版」「SAP NetWeaver04(Enterprise portal / BI)」、一方で、業種別では「食品(食品一般、飲料、乳業、食肉)」「産業機械および構成部品」「化学」を対象にしたものが既に出荷されています。ほかのソフトウェア製品や業種を対象にしたSAP Best Practicesも、順次出荷する予定です。

現実感のあるエントリーパックの提供

−ITmedia 中堅企業向けに提供しているエントリーパックについて教えてください。

神戸 エントリーパックは、汎用的な機能や設定を備えたAl-in-Oneのテンプレートをパートナー企業が提供しているものです。特徴は、顧客企業が期待する価値や予算規模によって3つのステップでパックを選ぶことができることです。

 ステップ1は「結果が見える」ことを目指すものです。会計をきちんと管理してお金周りの状況を把握するもので、具体的には、財務会計(FI)、管理会計(CO)、ビジネスインフォメーションウェアハウス(BW)の導入が中心になります。ここまでならば、期間は3〜6カ月、パッケージ価格が4000万円台から導入することが可能です。これは、従来のSAPのイメージでは考えられないくらい低コストです。

 続いて、ステップ2の目標は「モノが見える」ようにすること。ステップ1に加えて、販売管理(SD)、在庫管理(MM)、購買管理(MM)を加えたパッケージで、導入期間が4〜6カ月、価格は約1億円〜です。さらに、ステップ3のキーワードは「すべてが見える」です。ステップ2に生産/計画管理(PP)を加えたもので、導入期間は6〜9カ月、価格は約1億5000万円〜となっています。

 ちなみに、すべてのパッケージ価格に、SAPのソフトウェアライセンス、ハードウェア、テンプレート、導入コンサルティング費用が含まれており、トータルコストの低さを実感できる内容です。

−ITmedia SAPのソフトウェアの導入に成功したお客様に共通する取り組みは何ですか?

神戸 まず、自社に合った導入パートナーを選ぶことから始まり、なるべくテンプレートを使うようにすることです。さらに、お客様における部門間でビジネスプロセスにおける約束をきちんと決めることが重要です。そのためには、経営企画部門、IT部門、ユーザー部門の3者が一体になることが不可欠です。業務改革の方針を社員全体で徹底的に理解した上で、導入コンサルタントに頼り過ぎず、なるべくユーザー自らが意思決定していくことがコツと言えます。また、100点満点の導入をいきなり目指さず、まずは70点を目指し稼動を優先させることが、結果として成功につながっているようです。製品の導入に関するお問い合わせは、専用の問合せ窓口を設けておりますので、ご質問等、お気軽にお問い合わせ頂ければ、専門のスタッフが貴社に合った導入のご提案をさせて頂きます。SAPは高いと考えていらっしゃる方々にぜひ、お問い合わせを頂きたいです。



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提供:SAPジャパン株式会社
制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2006年3月31日