Fusion構築に向けてSiebelなどの買収製品を検証中――米OracleInterview

Oracleのアプリケーション戦略においては買収したPeopleSoft、J.D.Edwards、Siebelなどの製品がFusion Applicationにどのように組み込まれていくかに注目が集まる。

» 2006年03月06日 09時26分 公開
[聞き手:怒賀新也,ITmedia]

 3月3日まで開催されたOracle OpenWorld Tokyo 2006では、米Oracleからラリー・エリソンCEOやアプリケーション開発を統括するジョン・ウーキー氏などが来日し、日本のユーザー企業に直接メッセージを送っている。

 同社のアプリケーション戦略においては、買収したPeopleSoft、J.D.Edwards、Siebelなどの製品が実際に「Fusion Applications」にどのように組み込まれていくかに注目が集まる。同社アプリケーション&インダストリーマーケティンググループ担当バイスプレジデント、フレッド・スチューダー氏に話を聞いた。

アプリケーションマーケティングを担当するフレッド・スチューダー氏。市場の理解と機会の発掘などを主に担当する

ITmedia Oracle OpenWorld Tokyo 2006で何を伝えようとしていますか?

スチューダー Fusion Applicationsが顧客に明確な価値をもたらすことを伝える考えです。例えば、買収したSiebelは、CRMにおける圧倒的な顧客ベースはもちろん、データモデル、ERPを含めた外部システムとの連携のしやすさなどCRMアプリケーションとしてFusionに多くをもたらしてくれます。また、Siebelのビジネスインテリジェンス(BI)機能であるSiebel Analyticsは、OracleのBIの中心になります。また、PeopleSoftのCRM製品には多くの機能があり、現在も検証しているところです。各社のベストの機能を探し、それを融合させていく考えです。

 一方、HCM(Human Capital Management)では、やはりPeopleSoftのソフトウェアが性能面でリードしており、PeopleSoftをベースにFusionを構築していくことになります。われわれの目標はその結果として、すべての顧客企業が次の世代のアプリケーションにスムーズに移行できるようにすることです。

ITmedia もともとアーキテクチャが異なるアプリケーションを統合することの難しさはありませんか?

スチューダー Fusionでは各製品の機能をWebサービス化し、サービスとして共有し合うことを考えています。Webサービスを使うことでさまざまなアプリケーションを統合する「コンポジットアプリケーション」の構築が可能になります。いわゆるSOA(サービス指向アーキテクチャ)によるアプリケーション構築です。

ITmedia 中堅・中小企業向けの施策について教えてください。

スチューダー Oracleのユーザーの70%は中堅・中小企業です。この市場向けには最上位であるE-Business Suite(EBS)のスケールダウンバージョンとJ.D.Edwards EnterpriseOneという2つの製品ラインを用意しています。いずれも、早期導入と素早い価値の創出が可能です。また、急激に成長するユーザー企業も多く、EBSのフルバージョンへのアップグレードという展開も現実的です。

ITmedia 中堅・中小企業市場での成功事例について教えてください。

スチューダー アイオア州にPellaという企業があります。住宅の窓のフレームなどを製造しているメーカーで、かなり競争が激しい市場と言われています。同社は、全米および世界中の営業所と、1000人以上の従業員をまたがるネットワークを統合する注文システムを構築しようと考えました。同社はサプライチェーンの幾つかの部分で製造プロセスの老朽化という、いわゆるレガシーシステムの問題に直面していました。放置すれば、製造費増加を引き起こし、顧客ベースの信用を失ってしまうかもしれません。

 そこで、導入したのがEBSでした。2000年から始まった導入プロジェクトでは、FinancialsとProcurementに焦点が当てられました。2002年にはManufacturing、Sales Online、Configurator、Order Management、Marketingの導入が実施されています。

 結果として、窓の製造販売領域におけるコスト削減や、・新しい機会を見つけられるようになった、プロセスが迅速になった、作る製品の品質がアップしたなど、さまざまなメリットがありました。

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