「Business Webプラットフォームのリーダーでありたい」とSalesforce.comのスティール社長

セールスフォース・ドットコムは、「Salesforce」の最上位版として「Unlimited Edition」を追加した。「ASPの制約を解決し、あらゆるアプリケーションが稼動できる」とスティール社長は話す。

» 2006年03月07日 16時39分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 「われわれは、Business Webプラットフォームのリーダーでありたい」── オンデマンドCRMサービスのSalesforce.comを率いるジム・スティール社長は好調な業績と将来の成長性に自信を見せた。1月末に締めた2005年度の売り上げが前年同期比76%増の3億900万ドル、利益は300%増の2800万ドルを記録している。

スティール社長は1990年代後半のIBM時代に東京勤務も経験している

 セールスフォース・ドットコムは3月7日、都内のホテルでプレスブリーフィングを行い、何千ユーザーをサポートし、企業全体に展開できるソリューションとして「Salesforce」ラインアップに「Unlimited Edition」を追加したことを明らかにした。

 Unlimited Editionは、1000ユーザー程度までを想定しているEnterprise Editionのすべての機能が含まれるほか、オンデマンドでさまざまなアプリケーションが利用できるプラットフォーム、「AppExchange」のメリットを最大限に享受できるよう、使用制限をなくしたほか、ディスク容量も6倍に引き上げているという。

 「ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)というと、“良いソリューションだが、限界がある”と話す人が多いが、Salesforceには限界はない」とスティール氏。

 「Business Webプラットフォーム」と同社が呼ぶAppExchangeは1月にスタートしたばかりだが、すでにインストールが4400に達するなど、滑り出しは好調だ。

 「まるでブログを書いたり、読んだりするようにアプリケーションを作成したり、インストールできるエコシステムだ」(スティール氏)

 AppExchangeは、同社の「Beyond CRM」を実現する取り組みでもある。ユーザー企業の優れたカスタムアプリケーションやISVパートナーらのアプリケーションを登録することで、顧客企業は外部の専門家の知識を活用できる。すでにアプリケーションも188本にまで増えており(うち日本語版は25本)、Merrill Lynchなどがリクルート活動に活用したり、アイルランドのKerry Foodsが食品の鮮度管理に活用するなど、先進的な顧客らはCRMを超えた分野に使い始めている。

 「AppExchangeによって、Salesforceの顧客はあらゆるアプリケーションが稼動でき、そのためにASPの制約を解決するのが“Unlimited Edition”だ」

 Unlimited Editionの価格は、1ユーザー当たり月額2万4000円。プラチナムサポートも含まれている。

Yahoo!オークションの管理ツールも正式発表

 セールスフォース・ドットコムはこの日、Yahoo!オークションの取引を効率化する「Salesforce for オークション」も正式発表している。Unlimited Editionが大企業市場への取り組みだとすれば、こちらは逆に一般消費者にSalesforceを浸透させる足掛かりとして、プロシューマー市場を狙う取り組みだ。ちなみに、このSalesforce for オークションもAppExchange上で構築されており、オンデマンドですぐに使い始められる。

 Salesforce for オークションでは、取引相手別、商品別に落札、通知、返事、入金確認、発送、評価という一連の流れを効率化できるほか、過去の取引履歴などもきちんとトラッキングできる。セキュリティの面でも、SSL暗号通信による認証、堅牢なデータベースにより、高い安全性を確保しているという。

 日本法人の宇陀栄次社長は、「潜在市場は、Yahoo!オークションで活発に取引している100万ユーザー。日本でCRMを知ってもらうための起爆剤としたい」と話す。

 価格は、月額200円で3カ月ごとの申し込みとなっている。

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