コラム
» 2006年03月08日 16時35分 UPDATE

Magi's View:今や「オープンソース・ライセンスによるソフトウェアのリリース」はニュースではない

「何々というプログラムをオープンソースでリリースした」というプレスリリースは、嬉しい知らせではあるものの、それは今や日常茶飯事のことであり、それ自体にはニュースとしての価値はもはやない。ではニュースになる「オープンソース」とは?

[Robin-'Roblimo'-Miller,japan.linux.com]
SourceForge.JP Magazine

 われわれの下には、「何々というプログラムをオープンソースでリリースした」といったことを高らかに謳うプレスリリースが、山のように送られてくる。広報宣伝部門の皆さんのご報告には感謝したい。だが、ぜひ認識を改めていただきたい点が一つある。皆さんの会社のクライアントや顧客がオープンソース・ライセンスを選択してくれたというのは嬉しい知らせではあるものの、それは今や日常茶飯事のことであり、それ自体にはニュースとしての価値はもはやないという点だ。

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 広報文で目にする中で、もっとうんざりするのは、「オープンソース・ベース」という表現だ。プレス・リリースの中でこのフレーズを目にしたのが何回に上るかは分からないが、もはや食傷気味であり、[Del]キーを押してこのリリースを削除してしまいたいという衝動にかられることが多い。私にとっては、「オープンソース・ベース」という謳い文句は、宣伝のためのこびへつらった表現にしか聞こえない。もしその企業が、オープンソース・プロジェクトを積極的にサポートしており、秘伝のアドオン・プログラムを別途発売しているのなら、そう明言すればいいのだ。「オープンソース・ベース」という表現では中身がない。インターネット全体だって「オープンソース・ベース」なのだ。

 最近では、「オープンソース・ライセンスによるリリース」が大きなニュースになるのは、オープンソースの選択肢があまりないジャンルのソフトウェアの場合だけだ。その基準にのっとると、データベースをオープンソース化するというのはニュースではない。オープンソースのデータベースは既に数多く出回っているからだ。一方、各種機能を完全装備した、コンシューマー向けの確定申告計算プログラムがオープンソースで登場したら、大きく取り上げられるであろう。

 広報文に出てくる表現で、これを目にすると私の指はわなわなと[Del]キーへ向かう、というものがもう一つある。「リリースを計画している」という表現だ。

 そりゃ結構なことだ。実は私も、今年は2回目の年収100万ドル達成を計画している。(最初の100万ドルより2回目の100万ドルの方が簡単だとみんな言っているので、最初からそちらを目指すことにした)。

 私は、この風変わりな業界についての文章を10年間書いてくる中で、ソフトウェアのリリース予定日が吹っ飛ぶのを数多く目にしてきた。だから、ソフトウェアの今後のリリース予定日について聞かされると、そのライセンス形態がどうであろうと、その言葉は私の耳をサッと素通りしていくだけである。

オープンソースがニュースになるとき

 利用価値があるソフトウェアの重要なリリースはニュースとなる。2.2.1から2.2.2へのバージョンアップではなく、3.1へのバージョンアップだ。そして、バージョン番号が大きく上がるからには、使いやすさ、安定性、機能も、バージョン番号に見合って上がることが必要になる。「このソフトウェアの以前のバージョンのレビューを読んでいたとして、この新しいリリースには、新しいレビューを改めて読み直す必要があるくらい、多くの違いがあるだろうか」と自問してみるとよい。

 答えがイエスなら、新リリースはニュースだ。答えがノーなら、ニュースではない。

 なお、ここで私が言っているのは、単なる発表やプレスリリースのことではなく、実際にダウンロードして試用できるリリースそのものを指していることに注意されたい。このサイトをはじめとする、技術系ニュースサイトの読者たちの多くが、真剣に読み、注意を払い、コメントを寄せる対象は、製品の実物のレビューだ。製品についての発表や、単なるエグゼクティブ・ブリーフィングでは、注目を集めることはほとんどない。

 主に企業内やビジネス環境で使用する製品であれば、開発元の話を聞くよりも、実際に使用しているユーザーの話を聞いたり、ユーザーの現場を訪問したりする方が、よっぽど興味深い。これもまた、開発元の謳い文句よりも、実際の現場での動作状況の方が、読者たちの興味が大きいという理由によるものだ。開発元の言うことを信じないというわけでは決してないのだが……。

 このような、「注目を集める方法」についての原則は、SourceForge.netの新規プロジェクトに参加している開発者であろうと、オープンソース・コミュニティーとのかかわりを持ち始めたばかりの国際的な商用ソフトウェア企業で広報宣伝部門に属する人であろうと、同じように当てはまる。原則に従えば、ニュースとして取り上げてもらうことができ、しかるべき注目を集めることができるはずだ。原則に従わないと、プロジェクトに対する注目は、きわめて小さなものになるおそれがある。

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