Longhorn Serverを意識したISA Server 2006の控えめな進化(1/3 ページ)

現在β段階にあるInternet Security and Acceleration (ISA) Server 2006での変更は、管理作業の簡素化とさらに多様な機能を実現するための細かい機能強化にとどまっている。しかし、同製品の行く末には2007年のWindows Longhorn Serverのリリースに伴う大規模な変更が待ち受けている。

» 2006年03月22日 07時00分 公開
[Peter Pawlak ,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 2006年第2四半期にリリース予定のInternet Security and Acceleration(ISA)Server 2006のβテストが実施されている。同製品は、Microsoftのファイアウォール、仮想プライベートネットワーク、コンテンツキャッシュを提供するISA Server 2004のマイナーアップデートに当たる。アーキテクチャの変更はほとんどなく、管理作業を簡素化し、より多様な機能を実現するための細かい機能が追加されている。ただしISA Server 2006の次のリリースでは、次期Windows Server(コード名:Longhorn Server)に伴う大規模なアップグレードが施されるほか、最近買収したFutureSoftのコンテンツフィルタ技術が実装される見込みだ。

2エディションで展開、アプライアンス提供も

 前身となるISA Server 2004と同様に、ISA Server 2006もStandard EditionとEnterprise Editionの2エディションで展開される。

Standard Edition
 ISA Serverを1台しか必要としないか、複数のファイアウォールまたはキャッシュ機能のみのISA Serverをネットワーク上の各所に配置しているがこれらをまとめて管理する必要がないユーザー向けの価格を抑えたエディションである。

Enterprise Edition
 価格は高くなるが、より高い可用性、拡張性、管理性を求めるユーザー向けのエディションである。このエディションでは、複数のサーバをグループ化してサーバレイを構成し、負荷分散やフェールオーバーによって処理能力や可用性を向上できる。すべてのアレイメンバーまたは同一組織内のEnterprise EditionであるISA Serverすべてを一元的に構成および管理することができる。ルールなどのポリシーは、1台以上のサーバでホストされているActive Directory Application Mode(ADAM)データベースに格納される。

 ISA Server 2006の価格やライセンスの詳細は発表されていないが、ISA Server 2004のStandard Editionは、1プロセッサあたり約1500ドル、Enterprise Editionは約6000ドルであり、ISA Server 2006でも同程度の価格になるものと思われる。

 MicrosoftではISA Serverを単体のソフトウェア製品として販売するだけでなく、CelestixやHewlett-Packard、Network EnginesといったOEMへの販売も予定している。これらのOEMからはISA Serverを搭載したアプライアンスが提供される予定だ。カスタムプロセッサを使用し、ディスクドライブを内蔵しないハードウェアベースのファイアウォールと異なり、これらのアプライアンスは基本的には従来のWindows Server 2003サーバと同じになる。ただし、出荷前にISA Serverがインストールおよび設定されている。また、OEMによりWindowsが固定化されており、必要なコンポーネントとサービスのみがインストールおよび実行されるようになっている。

 ISA Server 2004では、アプライアンスOEMにライセンス提供されていたのはStandard Editionのみであった。ISA Server 2006では、Enterprise EditionもOEMにライセンス提供され、OEMパートナーが大規模企業の要件に合うファイアウォールアプライアンス製品を開発できるようになる。

ISA Server 2006の新機能

 Windows Server 2003 R2などMicrosoftの一部のサーバ製品は"R2"モニカを使用しており、これはその製品がマイナーリリースであることの目印とされている。ISA Server 2006にはR2モニカは搭載されないが、同製品はあくまでもマイナーリリースである。アーキテクチャの大きな変更はなく、ユーザーインタフェースもほとんど変更されていないうえ、ISA Server 2004からの機能強化もわずかである。この程度の変更ではこれまでISA Serverの導入を見送ってきたユーザーの心を捉えるのは難しいだろう。また、既存ユーザーでもソフトウェアアシュアランス(SA)を購入していないユーザーは、コストをかけてこの新しいリリースを導入するだけの付加価値は見出せないだろう。しかし、SAを購入している場合は、アップグレードを比較的短期間で手間を掛けずに行うことができるため、ある程度のメリットはあるかもしれない。また、例えばEMCの付加分散およびフェールオーバーソフトウェア製品であるRainfinityなど、サードパーティが提供するISA Server用のアドインやユーティリティとの互換性の問題はないだろう。

 ISA Server 2004 Service Pack 2では、クライアントPCが要求したWindows UpdateやMicrosoft Update Webサイトからの修正プログラムのキャッシュ機能の改善など、機能強化や新機能が導入されているが、ISA Server 2006でも、概して管理作業を簡素化し、柔軟性を高め、より多くの特殊な状況にISA Serverが対応できるようにする(スマートカードやRSAトークン認証のサポートなど)ための細かい変更が多数施されている。

 ISA Server 2006の新機能には、次のものがある。

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