金融業界に照準を合わせる日本オラクル

日本オラクルはOracleが買収したPeopleSoftやSiebel、そのほかのアプリケーションやテクノロジーを最大限に生かすことで、今後金融業界向け取り組みをさらに強化することを明らかにした。

» 2006年04月06日 18時53分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 日本オラクルは4月6日、記者向けのブリーフィングを行い、Oracleが買収したPeopleSoftやSiebel、そのほかのアプリケーションやテクノロジーを最大限に生かすことで、今後金融業界向け取り組みをさらに強化することを明らかにした。

 「SAPはERPで確かに不動の1位だが、金融に限ってみればオラクルの方が強い」と自信を見せる同社。今後は、買収で獲得したテクノロジーやノウハウを生かして、同業界での存在感をさらに高めていく考えだ。

 同社が金融業界向けの取り組みを始めたのは早く、1998年に「銀行ERP研究会」を立ち上げたところにまでさかのぼる。ラウンドテーブル形式でいろいろな銀行やIT企業が集まり、銀行業務における情報系システムの在り方について議論が交わされたという。当時としては非常に珍しい会だった。

 同社は「こうした取り組みをしたことが金融業界でOracleが成功した理由」と話す。その後、2000年には銀行ERPの製品化、2001年には総合収益リスク管理、2002年にバランストスコアカード、2003年にリレーションシップバンキング、2004年に決算早期化支援などのソリューションを開発し、2005年8月にはコアバンキングに参入した。

 2005年も「総合収益リスク管理」「新BIS規制対応」「保険向けグローバル経営管理」「Accounting STP(仕訳作成エンジンを活用した財務会計ソリューション)」など、金融業務向けのソリューション開発に力を入れた。

ソリューションの核となる技術

 同社は最近の買収戦略について、2005年1月のPeopleSoft、セキュリティ強化のためのID管理の技術を持つOblix、取引データへの常時アクセスと瞬時の応答を可能にする技術を持つTimesTen、43%の株式を取得したi-Flex、さらに、2月にはSiebelの買収を完了させたことについて触れた。そうした新たな技術をFusionミドルウェア上で統合させることで、将来にわたって先進的なアプリケーションを「Fusion Application」として開発、提供していくのが同社の戦略となる。もちろん、買収先企業の顧客ベースを取り込んでいくことも目的の柱の1つとなっている。

 こうした買収企業の中で金融業界へのソリューション提供と密接に絡んでいるのが、インドのソフトウェアベンダーであるi-Flexだ。同社が提供する銀行向け勘定系パッケージ「FLEXCUBE」は、新生銀行、Citibankなどですでに稼働しており、他のシステムと比較して低コストで導入できることがメリットという。Oracleはi-flex製品を金融業向けソリューションの柱として位置付け、拡大していく考えだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ