MSN広告料金の目減りは自社開発adCenterが影響(2/2 ページ)

» 2006年04月12日 07時00分 公開
[Matt Rosoff,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版
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ディスプレイ広告が重要な収入源に

 adCenterへの移行期間中は、バナーやインタースティシャル広告(要求されたページを表示する前の数秒間ページ全体を使って広告を表示する広告)などのディスプレイ広告がMSNの重要な収入源となる。たとえば2006年第2四半期では、検索連動型広告の収益は減少しているにもかかわらず、ディスプレイ広告の収益は前年比で20%増加している。

 これを踏まえ、Microsoftは2006年3月に、いずれもβテスト中のWindows Live Mail(Hotmailの後継サービス)とOffice Liveの2サービスにおいてディスプレイ広告のテストを開始した。このようなテストをこの時期に開始することで、β期間中でも収益を上げることができるだけでなく、2006年中に予定されている両サービスのリリース時に、全地域で広告セールスの展開準備を整えておくことができる。

 そのほか同社は、MSN Spacesにおいてユーザーブログ内でのディスプレイ広告のテストも開始している。

2大勢力へかけるadCenterのプレッシャー

 Microsoftは、クエリーログを基に広告主に追加の入札対象語句の候補を提示する機能("ルアー"を検索するユーザーは、ルアーの特定のブランド"Rebel"も検索することが多い)など、adCenter固有の機能によって、最終的には広告主や検索エンジンマーケッターをGoogleとOvertureから奪取できるか、少なくともこの2社のみではなくMSNも加えた3社間で広告費が分配されるように仕向けることができると考えている。したがって、2006年中はMicrosoftの検索連動型広告の収益は業界内で下位にとどまるとしても、adCenterの導入が進むにつれて競争に圧力がかかる可能性はある。特にYahoo!はMSNとOverture間の契約終結により2006年は1億ドルの収益減を予想している。GoogleはMSNとYahoo!のような関係にはないが、Yahoo!に比べて提供サービスの幅が狭く、ディスプレイ広告やサブスクリプション事業を手がけていないため、検索連動型広告市場における変化の影響を受けやすい。

 Microsoftは、検索連動型広告サービスはオンライン広告事業への取り組みの端緒に過ぎないとしている。今後の計画については詳細が明らかにされていないが、次のような動向が予想される。

  • おそらくadCenterの将来のバージョンでは、Microsoftのオンライン広告サービスが拡充され、検索連動型広告やディスプレイ広告だけでなく、Windows LiveおよびOffice Liveの全サービスを対象とするテキストベースの文脈広告も利用できるようになるだろう(これは、GoogleがGmailサイトで電子メールメッセージに並べて文脈広告を表示したり、Google以外のサイトでAdSencseサービスによって文脈広告を表示するのと同等の機能である)。
  • MSNのセールス部隊は、Windows Live、Office Live、Xbox Live、MSN SearchのほかのMSNサイトを含め、Microsoftのさまざまなサイト上でのディスプレイ広告の販売を開始するだろう。
  • Windows Live Mail Desktop Searchを布石として、その他にも広告サポート型のデスクトップソフトウェアを開発する可能性がある。
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