Sunは「UltraSPARC T1」マルチコアプロセッサを搭載した2番目のシステムを投入。また、同チップの後継版をテープアウトした。
Sun Microsystemsは、自社の「UltraSPARC T1」マルチコアプロセッサを搭載した2番目のシステムを投入するとともに、同チップの後継版をテープアウトした。新プロセッサは、2007年下半期に出荷されるシステムに搭載される見込みだ。
カリフォルニア州サンタクララに本社を置くSunは、昨年11月、T1プロセッサを搭載した最初のシステム「Sun Fire T2000」をリリースし、「T1000」を数カ月以内に投入すると発表した。Sunのスケーラブルシステムズグループのマーケティング担当ディレクター、ファディ・アザーリ氏によると、T1000システムはすでに出荷中で、価格は3245ドルから。
T1チップは、サーバ製品の強化に向けたSunの取り組みにおいて主要な役割を担う。このプロセッサは最大8個のコアを搭載し、各コアは最大4つの命令スレッドを同時に実行することができる。
Sunでは、約70ワットという低い消費電力で高いスループットを提供するT1プロセッサのターゲットとして、大量のトランザクションやWebベースのワークロードを扱うシステムを想定している。同社によると、従来のUltraSPARCアーキテクチャでは獲得できなかった案件でも競争できるようになったという。
しかし批判的な人々や競合企業は、以前「Niagara」のコードネームで呼ばれていたT1プロセッサは、広範なユーザーに訴求しないニッチ製品だとみている。
アザーリ氏はこういった見方に対し、T1プラットフォームで幾つかの契約を獲得したと反論している。その1つが中国のSina.comとの契約で、同氏によると、このWebポータルでは、DellのサーバをT1000システムで置き換える予定だという。
さらに同氏によると、購入前に60日間の試用期間を認めた「トライ&バイ」プログラムも成功している。Sunはこのプログラムを通じて1000件以上の契約を獲得し、その約半数は新規顧客との契約だという。
Sunでは、2007年に登場予定の「Niagara II」(現在は「UltraSPARC T2」と呼ばれている)で顧客ベースを拡大したいと考えている。アザーリ氏によると、このチップは、現行プロセッサと比べてスレッドの数が2倍(32から64に)なり、パフォーマンスも2倍になるという。同社では、マルチプロセッサシステムでも利用される見込みだとしている。
Niagara製品のグループマーケティングマネジャーを務めるポール・ダーザン氏は、「今回テープアウトしたチップは、現行チップと似通ったアーキテクチャを採用している」と話す。
T2プロセッサをテープアウトしたというのは、Sunが同チップの最初のデザインをメーカーであるTexas Instrumentsに送付したことを意味する。アザーリ氏によると、最終製品のリリースまでに、同チップは何回かテープアウトされる見込みだ。
Sunはサーバ製品のテコ入れを図るために、Niagaraアーキテクチャに加え、「Rock」というコードネームで呼ばれるプロセッサを2008年に投入する計画。さらに同社では、x86サーバ市場でもビジネスを確保すべく、Advanced Micro DevicesのOpteronプロセッサを搭載した「Galaxy」サーバのラインアップも拡大中だ。
また、Sunは富士通とも提携し、富士通が開発中のデュアルコアプロセッサ「SPARC64 Olympus」をベースとするサーバ製品シリーズの開発を進めている。このシリーズは「Advanced Product Line」と呼ばれ、年内にリリースされる予定だ。
NiagaraおよびRock製品ラインを拡大する取り組みが進む一方で、Sunのサーバシステムグループは先週、予算削減のターゲットになり、同部門の従業員の約7%に当たる200人の人員削減が実施された。
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