MS、エンタープライズツールへの道のり(1/2 ページ)

MicrosoftはRational Softwareの買収を考えていたこともあったが、独自でアプリケーションライフスタイル管理製品を構築することにし、VSTSを開発した。

» 2006年04月19日 18時40分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 明確な目標を持っているにもかかわらず、Microsoftは曲がりくねった道を進み、やっとエンタープライズツール分野に足掛かりを得た。

 同社のVSTS(Visual Studio Team System)ジェネラルマネジャー、リック・ラプランテ氏は、同社はALM(アプリケーションライフスタイル管理)分野への「この曲がりくねった道を進んできた」と話す。

 「われわれはモデリングツールをやろうと言った。それから、名前は出せないがある大手企業を買収しようと言った。それはダメなアイデアだと分かった。そこで独自の製品を提供することにした。当社の価値命題は統合だからだ」(同氏)

 ラプランテ氏が言う「ある大手企業」とはRational Softwareのことだ。MicrosoftはRational買収を検討していたが、それを見送った。IBMはその後、2002年12月にRationalを21億ドルで買収すると発表し、2003年2月に買収を完了した。

 ラプランテ氏は言おうとしなかったが、Microsoftのスティーブ・バルマーCEO(最高経営責任者)は昨年Visual Studio 2005立ち上げ時にeWEEKの取材に応えてこのことを明らかにした。

 「IBMに買収される前に、当社もRationalの買収を考えていた。Rationalの持つ実際のシートとユーザーの数は小さい。それに優れたコンセプトを使い勝手のいいパッケージに取り入れ、売れる価格で提供できるのなら、開発者が独自に作る方がいいと思う。十分な使い勝手と適正な価格を実現しなくてはならない」(バルマー氏)

 Rational買収は見送ったものの、MicrosoftはレドモンドにVSTSの開発を手伝いに来てほしいと数人のRational開発者を口説いた。実際、情報筋によると、MicrosoftはRationalの主任研究者グレイディ・ブーチ氏を引き抜こうとしたが、同氏はIBMに残ることにした。

 しかし、この取り組みはエンタープライズにおけるMicrosoftのプレゼンスを拡大するというシンプルなアイデアから始まったが、今は同社の開発者部門の主な駆動力になっている。

 「これは明らかに開発者ツールの成長エンジンになると思う」と開発者部門コーポレート副社長“ソマ”ソマセガー氏は語る。「これまでのところは順調だ」

 ラプランテ氏は、Microsoftのエンタープライズツールへの初期の取り組みの歴史を少し説明した。

 「1999年ごろ、ビル(・ゲイツ会長)とスティーブ(・バルマーCEO)に、エンタープライズツール事業に参入すべきだと進言しなければならなかったのを覚えている」(同氏)

 「1999年のエンタープライズツール事業は誰も大して気にしていなかった。おもしろくない事業だった」と同氏。

 「そこでビルとスティーブのところに行って、この分野で何かしなくてはならないと主張した」と同氏は続ける。「これこそ当社プラットフォームでのエンタープライズアプリケーション構築をとどめていたものだったため、チャンスがあると言った」

 「そこでプラットフォームの機能を実現しなくてはならなかった。1999年にはこの分野でプラットフォームを設けるためのロードマップがあったが、これは次なる目玉でなければならなかった」(同氏)

 ゲイツ氏はなんと答えたのか? 「わたしはビルの言ったことを正確に覚えている。『この分野で、他社がこれまでの20年間でやってこなかったことで、当社にできることがあると思わせる理由は何か?』」

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