Exchangeにはこだわらない――メールアウトソース管理の本気度(1/2 ページ)

MicrosoftはFrontBridgeの買収で得た資産を基に、電子メール関連機能を企業がアウトソースできるExchange Hosted Services(EHS)の提供を開始した。名前にExchangeを冠してはいるが、Exchange ServerやExchangeコンポーネントを必要としない。

» 2006年04月27日 07時00分 公開
[Peter Pawlak,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 MicrosoftはFrontBridge Technologiesの買収により獲得した技術、人材、設備を基に、Exchange Hosted Services(EHS)の提供を開始した。EHSは4種類の有料サービスで構成され、企業ユーザーは自社の電子メールサーバを社内でホストしながら、アンチウイルス、アンチスパム、メッセージのアーカイブ、障害復旧、メッセージの暗号化などの電子メール関連機能をアウトソースできる。なお、EHSは名前にExchangeを冠してはいるが、Exchange ServerやExchangeコンポーネントを必要としない。また、今回のリリースと合わせて、EHSサービスの今後のロードマップについても発表された。

メールのセキュリティ管理と保管をホスティング

 Microsoftは単にExchangeブランドを利用しようとしているだけのように思えるが、Exchange Hosted Servicesという名前は誤解を生じかねない。EHSは同社のパートナーが提供する"Hosted Exchange"サービスとは異なり、Exchangeメールボックスをホストしない。それどころか、Exchangeのコンポーネントをまったく使用しないのだ。EHSでは、Exchangeサーバを使ってメールボックスがホストされている必要はなく、どのようなSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)電子メールサーバとも連係でき、任意のものを自由に組み合わせて使用できる。いずれのサービスも、ユーザー(メールボックス)単位で月ごとに課金される。

Exchange Hosted Filtering
 随時更新される複数のフィルタを使って、送受信されるSMTPメールを検証し、迷惑メール、ウイルス、フィッシング攻撃を防ぐサービス。また、送信メッセージについては、特定のキーワードやフレーズ、添付ファイルの種類、宛先の名前やドメインを調べて、電子メールが社内ポリシーに違反していないかを監視し、違反が見つかった場合は当該メッセージを送信者に返送する。同サービスは現在4000社以上が利用している。

 Hosted Filteringの迷惑メールフィルタ機能は、高い精度を誇っている。Microsoftの発表では、正規の電子メールが誤ってブロックされる割合は、バルクメール(ニュースレターなど)の場合は25万件に1件、個人からの電子メールの場合は100万件に1件である。それでも、Hosted Filteringでは、メッセージが迷惑メールとして振り分けられたためにブロックされたことを、当該メッセージの受信者や管理者に通知するオプションをいくつか用意している。また、ブロックされたメッセージを参照できるWebインタフェースも提供している。(1ユーザーあたり月額1.75ドル)

Exchange Hosted Continuity
 ユーザーの電子メールサーバが何らかのアクシデントで停止した場合でも、電子メールを継続して利用できるようにする。このサービスは、ユーザー社内の電子メールサーバが停止した場合でも、送られてきたSMTPメールをスプールするため、メッセージが送信者に返送されることはない。また、社外との送受信メールおよび社内メールも含めてすべてのメールのコピーが30日間分保持されるほか、ユーザーの社内サーバが停止または物理的に壊れた場合でも、EHSメールサービスに安全にWeb経由でアクセスできる。ただし、Hosted Continuityの現行リリースでは、Active Directoryアドレス一覧をインポートできないため、Webインタフェースを利用する場合は、記憶を頼りに、あるいは印刷しておいたアドレス一覧や以前のメッセージを参照して、手動で宛先のアドレスを入力しなければならない。同サービスの現在のWebクライアントは、ExchangeのOutlook Web Accessではなく、FrontBridgeの電子メールクライアントをベースにしている。(1ユーザーあたり月額2.5ドル)

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