Office 2007の互換性問題を検証――理解しておくべきマクロやアドインへの影響(3/4 ページ)

» 2006年05月01日 07時00分 公開
[Rob Helm ,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 この結果、既存のExcelのマクロやActiveXコントロールを使ったソリューションの中には、旧版のExcel使用時に比べて余計に操作が必要になり、ユーザーのフラストレーションにつながることも考えられる。ただし、コードに署名をするか、グループポリシーを利用して特定のグループやユーザーに対してはExcel 2007のコードセキュリティを無効にすることで、この問題は回避できる。

 一般的には、エンドユーザーによるセキュリティセンターの設定ではなく、グループポリシーを使用してOffice 2007のセキュリティ設定を調整する方がよいだろう。グループポリシーであれば、一元管理が可能なうえ、どのドキュメントやコードが信頼できるかといった難しい判断をエンドユーザーに強いる必要がない。

オブジェクトモデルや開発機能の変更

 Office 2007では、既存のCOM API(オブジェクトモデル)のほとんどが継承されている。COM APIは、マクロや他の拡張機能から、たとえばWordでの段落の挿入やExcelグラフへのデータの読み込みといったアプリケーションの機能を使用できるようにするものだ。ただし、一部のオブジェクトモデルは変更されており、このためにカスタムの拡張機能が正常に機能しなくなることも考えられる。また、開発者にとって便利な機能のいくつかも削除されている。特に大きな変更点は次のとおりである。

グラフ機能
 Excel 2007のグラフ機能のオブジェクトモデルにおける変更により、Excelのグラフを自動的に作成する拡張機能の中には影響を受けるものもあるだろう。また、WordおよびPowerPoint 2007の埋め込みグラフはMicrosoft GraphではなくExcelのグラフになり、これらはMicrosoft Graphオブジェクトモデルをサポートしない。このため、ユーザーが挿入したグラフを操作するWordやPowerPointの拡張機能は、エラーになる可能性がある。Microsoft Graphオブジェクトモデル自体は引き続き利用可能で、WordおよびPowerPoint 2007のドキュメントにMicrosoft Graphグラフを挿入することはできる。ただし、Office 2007アプリケーションを使用して挿入したグラフは、Excelグラフオブジェクトモデルを使用するため、Microsoftでは可能な限りGraphオブジェクトモデルをコードから排除するよう勧めている。

Excelの統計およびエンジニアリング機能
 Excel 2007には、これまで分析ツールアドインの一部として提供されていた統計機能およびエンジニアリング機能が組み込まれる。これに伴い、Excelオブジェクトモデルにおける配置が変更されているため、これらの機能を呼び出す拡張機能のコードは新しい配置に合わせて書き直す必要がある。

Webコントロールおよびデザイン機能の削除
 Office 2007には、Internet Explorerでのデータアクセス、スプレッドシート、グラフ、ピボットテーブル分析をサポートするActiveXコントロール“Office Webコンポーネント”が含まれない。したがって、このコントロールを使用する既存のWebページは、Office 2007システムでは機能しない。ただし、Microsoftは当該コントロールの提供はしているので、ユーザーまたは管理者が必要なコントロールを別途ダウンロードおよびインストールすれば、Office 2007システムでも利用可能になる。また、このコントロールを必要とするWebページデザイン機能も、Office 2007では削除されている。これには、Excelの“名前を付けて保存”ダイアログボックスでWebページ形式を選択した場合に表示される“対話機能を追加する”オプションや、Accessのデータアクセスページデザイン機能が含まれる。

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