Wine、デスクトップ、標準規格の話題LinuxWorld Toronto(2/4 ページ)

» 2006年05月02日 08時00分 公開
[David-Graham,japan.linux.com]
SourceForge.JP Magazine

 質疑応答に入る前に、クゼカッラ氏は、Microsoft自身のライブラリ(DLL)が利用できれば、大幅な省力化になるが問題はライセンスの扱いにある、と語った。聴衆の1人が、ほとんどの人は購入したハードウェアに含まれるWindows製品から未使用のWindowsライセンスを既に取得している、と指摘していたが、どんなライブラリを借用しても適切なWindowsライセンスが必要になる。Internet ExplorerはWineで最もよく利用されるWindowsアプリケーションだが、それはIEでしか行えない処理に関する特殊な機能を多くの人々が必要としているからだ、とクゼカッラ氏は話している。

 最初の質問は、Wineが悩みの種になっているように聞こえるがそれでも使うのはなぜか、というものだった。確かに悩みの種だが、そのおかげで多数のアプリケーションが動作する、とクゼカッラ氏は答えた。環境を移行する場合、基本的にWineかVMwareしか選択肢はない。WineはエミュレーションなみのパフォーマンスだがWindowsライセンスが不要、一方のVMwareではWindowsライセンスが必要になる、と彼は説明した。

 別の出席者は、誰がWineを使っているのか、と質問した。クゼカッラ氏は、Intel、Dreamworks、Disneyの名を挙げ、基本的にWindowsからLinuxに移行する企業ならどこでも使っている、と答えた。Wineは不安定だが、独自の実装を動作させる場合はとても安定することがある、と彼は述べている。

 続いての質問は、NovellはWineにかかわっているのか、というもの。クゼカッラ氏は、Wineに貢献しているNovellの人物を何人か知っているが、組織としてはかかわっていない、と答えた。

 WineとTransGamingとの関係を尋ねた人もいた。あまり関係はない、とクゼカッラ氏は答えている。数年前、TransGamingは、完全にライセンス――当時は派生コードの再頒布を要求しないX11のライセンスだった――の範囲内でWineのコードに変更を加えて販売した。これに対してWineは、ライセンスをLGPLに切り替えた。それ以来Wineプロジェクトの名前が出てこないので、TransGamingはきっとLGPLが気に入らなかったのだろう、というのは彼の憶測だ。TransGamingとWineの取り組みには重複する部分が多いので、ゆくゆくは両者が協力できることを望んでいる、とクゼカッラ氏は語った。

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