Xboxの生産コストが圧迫、新興事業は赤字に再転落(2/3 ページ)

» 2006年05月16日 07時00分 公開
[Matt Rosoff,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

Windowsクライアント部門
 引き続きMicrosoftの成長の旗頭であり、同部門の売上は予想通り前年度同四半期に比べて8%の増収(売上高31億9000万ドル、利益24億8000万ドル)となった。WindowsのOEM販売件数は前年同四半期に比べて16%増加したが、OEM事業の収益は10%の伸びにとどまった。OEM販売では大手PCメーカーへの販売が占める割合が高く、このような場合数量割引が適用されることがこの原因として挙げられる。また、一般ユーザーによる購入が活発なことも一因である。一般ユーザーは通常企業が購入するWindows XP Professionalよりも安価なWindows XP HomeやMedia Center Editionを購入する傾向が強い。同社はクライアント部門の売上については、2006年度第4四半期も同程度の成長(前年同四半期比7〜8%)を見込んでいる。

インフォメーションワーカー部門
 予想をわずかに下回り前年比5%増の成長にとどまった(売上高29億5000万ドル、利益20億9000万ドル)。Microsoftはこの理由を示していないが、2006年末に企業向けにリリースされるOffice 2007へのアップグレード権を確保するユーザーが増えているため、複数年のライセンス契約(エンタープライズアグリーメントやソフトウェアアシュアランス)でのOffice製品の売上が伸びていることを強調している。同社ではこの傾向は第4四半期も続くと見ており、前年同四半期に比べて5〜6%の伸びを予想している。

ホーム&エンターテイメント部門
 133%増というXboxコンソールの売上に牽引され、金額にして10億6000万ドル、85%の増収となった。この伸びは、部品供給が安定したことと製造委託メーカーに新たにCelesticaが加わったことで、Xbox 360の供給量が拡大していることが要因だ。ただし、Xbox 360を1台売り上げるごとに損失(おそらく100ドル以上)が発生するため、同部門の損失は倍増し3億8800万ドルに膨らんだ。しかし、同社の最高財務責任者Chris Liddell氏によると、一時的に経費が拡大するとしても、2006年後半にリリースが予定されているソニーのPlayStation 3を凌ぐ市場シェアを確保するため、可能な限りXboxコンソールを生産および出荷する予定であるという。Microsoftでは、2007年度はホーム&エンターテイメント部門の業績は通年黒字を維持できるものと予想している。

MSN部門
 ダイヤルアップISPの解約が続いていることと、広告売上がわずか7%の増収にとどまったことから、3%の減収で5億6100万ドルとなった。検索連動型広告の売上は、競合のGoogleおよびYahoo!とは極めて対照的に、前年度と比べて縮小している。Microsoftはこの原因として、MSNサーチの検索連動型広告プラットフォームをYahoo!のOvertureから自社開発のadCenterに切り替えているためだとしている。同社は、長期的なオンラインサービス事業の安定には、adCenterの導入が不可欠であると考えているが、この移行に伴い、各検索キーワードに対する広告表示権の料金が目減りしている。これは、Overtureとの契約を終結しても採算が取れるだけの広告主を確保できていないためである。また、MSN部門は2年以上黒字を維持していたが、今四半期は2004年度第2四半期以降で初めての赤字(2600万ドル)を記録した。Microsoftでは、adCenter、Windows Liveサービス、およびこれらのサービスを支えるインフラストラクチャへの投資を続行するため、2007年度もMSNの赤字は続くと予想している。

Microsoftビジネスソリューション部門およびモバイル&組み込みデバイス部門
 それぞれ21%と46%の増収と健闘したが、2006年度第2四半期の黒字から再度赤字に転落した。ただし、両部門あわせても全社の収益に占める割合は3%にも満たないため、全社的な業績への影響はごくわずかである。

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