WAN最適化が「企業のグローバル化と法規制遵守を両立させる」とF5 Networks

米F5 Networksでは、WAN最適化アプライアンスによって、グローバル化と法規制遵守という2つの相反する要求に応えることができると説明する。

» 2006年05月18日 16時00分 公開
[ITmedia]

 「企業は今、相反する2つの課題に取り組む必要に迫られている。1つはグローバル化で、これを推し進めることによりビジネスプロセスとアプリケーションが分散していくことになる。もう1つはさまざまな法規制への対応だ。統制を実現するには集中化させる必要がある。法規制への準拠という側面からいえば『分散』はいいことではない」――。

 米F5 Networksのプロダクトマネージャ、ケビン・ホーエンブリンク氏は、IT管理者が立たされている難しい立場についてこのように語った。

 同氏はさらに、この二律背反に対処するツールとしてWAN最適化アプライアンスが有効だと述べた。アプリケーションやシステム、資産をデータセンターに集約し、そこへのアクセスを最適化するとともに、経路を暗号化によって保護することにより法規制が求めるセキュリティ要件も満たすことができる。つまり、生産性の向上とコンプライアンス対応を両立できるという。

ホーエンブリンク氏 米F5 Networksのプロダクトマネージャ、ケビン・ホーエンブリンク氏

 F5 Networksでは、WAN最適化アプライアンスとして「WANJet」シリーズを販売している。2005年10月の米Swan Labsの買収によって製品ポートフォリオに加わったもので、独自技術「Transparent Data Reduction」(TDR)によるTCPの最適化や圧縮、SSLのオフロードや負荷分散といった複数のテクノロジを通じてアプリケーションのパフォーマンスを高速化する。この結果「WAN経由でもLANと同等のパフォーマンスを実現できる」(ホーエンブリンク氏)という。

 同社によると、アプリケーションのパフォーマンスが低いからといって、ただ帯域を追加するだけでは解決にならない場合が多いという。理由の1つは、プロトコルの特徴によるもの。CIFSのように「チャッティ」(おしゃべり)なアプリケーションの場合、いくら帯域を増強してもレスポンスは改善しない。WANJetでは、次のリクエストを予測してデータを事前に取得するプロキシ機能によってこの部分を改善しているという。

 また、ブロードバンド大国と言われるようになった日本国内のネットワークインフラだが、「東名阪などの主要な地域はともかく、ちょっと地方に行くといまだにISDN接続というケースも珍しくはない」(F5ネットワークスジャパンのプロダクトマーケティングマネージャ、武堂貴宏氏)。アジアなど海外にWANを展開するとなると、回線の品質はさらに落ちる。こういった地域にある拠点からのアプリケーションパフォーマンス改善にも有効だとした。

 さらに国内では、現在はテープに落としてオフラインで行われることの多いデータレプリケーション/バックアップをオンライン化し、高速に実施するためのツールとしても販売していくという。

 なおホーエンブリンク氏によると、F5Networksでは、今は2モデルから構成されているWANJetシリーズに新しいハードウェアを追加する計画があるほか、MAPIプロキシ機能の追加、同社の管理ツールである「Enterprise Manager」との統合といった機能強化を予定しているという。

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