MSが10万種以上のフィンガープリントを獲得――AssetMetrix買収の狙い

Microsoftは資産管理サービスのAssetMetrixの買収により、コンピュータにインストールされたソフトウェアを追跡する10万種類以上の「フィンガープリント(特定情報)」のライブラリを獲得した。

» 2006年05月22日 07時00分 公開
[Peter Pawlak,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 Microsoftは、IT資産/ライセンス管理ソリューションを手掛けるカナダの小規模ディベロッパーAssetMetrixを買収する計画だ。AssetMetrixには幾つかの製品があるが、Microsoftが狙っているのは、コンピュータにインストールされているソフトウェアアプリケーションを特定し、報告する技術だ。AssetMetrixは多様なソフトウェアのタイトルとバージョンを識別するための10万種類以上の「フィンガープリント(特定情報)」のライブラリを有している。Microsoftはこの技術を2006年中に自社の「Systems Management Server(SMS)」製品に統合し、既存のSMS顧客向けに無償で提供する方針だ。ただし、このAssetMetrixの技術がSMS 2003のすべての顧客に提供されるのか、それともSMS 2003 R2の顧客にのみ提供されるのかについて、Microsoftはまだ明言していない。SMS 2003 R2は現在βテスト中で、2006年夏のリリースが予定されている。

 SMSにAssetMetrixの技術が統合されることで、コンピュータに実際にインストールされているソフトウェアと、ソフトウェアのライセンス購入との比較が容易になり、その結果、企業はライセンスへの準拠を確実にすると同時に、ソフトウェア資産を効率的に使用できるようになる。既にSMS 2003でも、コンピュータにインストールされたソフトウェアの目録は作成できるが、その結果はディベロッパーが自社の製品をWindowsコントロールパネルの「プログラムの追加と削除」に正しく登録するかどうかにかかっており、実際のところ、正しく登録されない製品が多い。そのうえ、ソフトウェア業界には、製品のバージョニング、パブリッシャーリスト、あるいは1つのライセンスに関連してインストールされる複数のプログラム間の関係を定義する方法(例えば、キヤノンのデジタルカメラソフトウェアのライセンスでは多数のアプリケーションがインストールされる)などに関する一貫したアプローチがない。そのため、SMSのようなインベントリツールがあっても、各製品がどれだけのライセンスを必要としているのかを判断するのは難しい場合がある。

 AssetMetrixの技術により、各コンピュータのSMSエージェントはスキャンプログラムを実行し、ファイルプロパティとレジストリエントリをAssetMetrixの署名カタログと比較して、その結果をSMSサーバに報告できる。ソフトウェアのフィンガープリントがAssetMetrixのカタログに含まれる限り、SMSは正確にサマライズされたインベントリレポートを作成でき、購入済みのソフトウェアライセンスの記録と比較できる。

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