「データの集中管理は明らかな流れだ」新戦略ROCを売り込むマクデータ

マクデータは3月末にROCを発表し、リモートオフィスに散在するデータ統合の支援に乗り出した。中央での情報の集中管理によるセキュリティの底上げや、管理コストの削減を可能にするという。

» 2006年05月22日 11時40分 公開
[堀哲也,ITmedia]

 マクデータ・ジャパンは3月末にROC(Remote Offic Consolidation)を発表し、リモートオフィスに散在するデータ統合の支援に乗り出した。中央での情報の集中管理によるセキュリティの底上げや、管理コストの削減を可能にするという。

 マクデータは、ストレージネットワークを構成するSANスイッチなどで知られるベンダー。1982年にメインフレーム用のエクステンション開発からスタートし、90年代に一度はEMCの傘下にあったこともあった。しかし、現在ではオープンシステムのSANスイッチやダイレクタなどを主力にする独立のベンダーとして地位を築いている。

石本龍太郎社長と山田祐輔氏 マクデータ・ジャパンの石本龍太郎社長(左)とシニア・ソリューションコンサルタントの山田祐輔氏(右)

 このマクデータがROCで狙うのは、WANの領域だ。企業支店や営業所に散らばっているデータをWAN越しに中央に集約し、集中管理を可能にすることで、セキュリティの底上げや、管理コストの削減を支援するという。米国では回線のリセールも手掛けており、WAN回線の提供までを一貫して行っている。日本でも、個人情報保護法や日本版SOX法など企業のコンプライアン機運の高まりがこの流れを後押ししており、ROCソリューションのニーズは高いと見る。

 マクデータの石本龍太郎社長は「企業が保有している全データの50%〜70%がデータセンターの管理下にない。これをデータセンターに集めて集中管理すれば、管理コストの削減につながる。それだけでなく結果として、セキュリティも底上げできる。これは明らかな流れだ」と話す。

 中央での集中管理をはばんできたのは、WANのボトルネックにある。支店などリモートサイトを接続する回線のボトルネックにより、実際的にはリモートサイトにサーバを立て、データを置いておかなければならなかった。しかし、このようなリモートサイトには専任の管理者を置くことは通常の企業には難しく、管理コストを増大させる要因になっていた。

 マクデータのROCソリューションの第一弾ではこれを解消するため、WAN回線の高速化に注力する。新製品として、WAFSにあたる「WDS Accelerator」、Microsoft Exchangeのレプリケーションを可能にするシステム「Replicator for Exchange」を投入する。同社としては珍しく、他ベンダーの製品をOEMするかたちだ。

 WDS Acceleratorは、WANのボトルネックを解消する製品で、米Riverbed TechnologyのWAN高速化技術をアプライアンスとしてOEM販売する。特徴は「競合のWAFSソリューションとは異なり、ファイルサービスに限定されず、TCPアプリケーションであれば高速化することができる」点だ。

 また「Microsoft Exchange」のレプリケーションを可能にするシステム「Replicator for Exchange」も投入し、多く見られるExchangeの分散環境の統合ニーズを取り込むという。この製品では、米FalconStorの仮想化技術を搭載し、異機種間レプリケーションを可能している。

 石本社長は、ROCによりプロダクトベースのビジネスからの脱却も図ると話す。「プロダクトから脱却しなければ、いつまでも競合と同じ土俵でやっていかなければならない」ためだ。SANスイッチはストレージベンダーへのOEMに依存せざるを得なかったが、ソリューションというかたちでマクデータの付加価値を提供できれば新たな成長を描ける。同社では、ROCと同時にプロフェッショナルサービスの強化にも力を入れているところだ。

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