誤解されやすいWindows Live、その正しい姿とは?(1/2 ページ)

Windows Liveは、Microsoftが次々と打ち出すオンラインサービスの中でも特に注目を集めている。だが、Windows Liveがカバーする範囲を拡大して解釈したり、オンラインサービスへの新たな意欲を従来のソフトウェアビジネスとの決別であると誤解する可能性は高い。

» 2006年05月24日 07時00分 公開
[Matt Rosoff,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 Windows Liveの発表にあたりBill Gates氏やRay Ozzie氏などのMicrosoft幹部は、Windows LiveはIT市場における大きなうねりに対応するための大規模かつ長期的な取り組みの1つであると説明している。この説明とGoogleを始めとする新興Web企業を取り巻く大きな期待感から、ついWindows Liveがカバーする範囲を拡大して解釈したり、Microsoftが見せるオンラインサービスへの新たな意欲を従来のソフトウェアビジネスとの決別のサインであると誤解する可能性は高い。

 特にパートナー企業は、手痛い誤解を避けるためにも、Windows Liveについて次の点を理解しておく必要がある。

エンタープライズ向けサービスではない

 Microsoftはエンタープライズ向けのホスティングサービスに興味を示しているものの、Windows Liveは現時点ではこのようなサービスとは無関係だ。

 同社は既にオンライン会議サービスのLive Meetingや、スパムやウイルス、不慮の障害から会社の電子メールシステムを保護するExchange Hosted Services(2005年末に買収したFrontBridgeを前身とするサービス)など、エンタープライズ向けホスティングサービスを展開している。またEnergizer Holdingsと保守管理サービス契約を結んでおり、この契約のもとで(その他のサービスと合わせて)EnergizerにExchangeサーバおよびSharePointサーバのホスティングサービスを提供している。Microsoftはさらに同様の契約を他社からも獲得しようとしている。

 ただし、これらのサービスはWindows Liveとは別の製品グループが担当しており、ビジネスモデルも異なる上に、対応する競合やターゲットユーザーも違う。おそらく最大の違いは、現在のMicrosoftのエンタープライズ向けホスティングサービス参入の動きは、Windows Liveの取り組みと比べると一時的なもので、対応する領域も狭いことだろう。

Office Liveとは異なる

 Office Liveは小規模企業を対象としたオンラインサービス群で、Windows Liveと同時に発表されている。

 しかし、“Live”という語と2、3の共有インフラストラクチャコンポーネント(Office LiveはHotmailの後継サービスとなるWindows Live Mailを利用する)以外は、この2つのサービスはきわめて異質だ。Office Liveでは、採用しているビジネスモデルも異なり(広告ではなくサブスクリプションモデル、ただしエントリレベルのサービスは広告サポート型となり無償で提供される)、ビジネスターゲットも異なる(共有アプリケーションを導入することでメリットを得られるが、サーバハードウェアの購入や保守を望まない小規模企業)。また、競合するサービスも同じではない(Office Liveの場合は、Intuit QuickBaseやYahoo Small Businessなど)。

 おそらく最も重要な違いは、Office Liveでは小規模企業にOffice Liveのサービスを再販するパートナーを募っていることだろう。これは、Microsoftの従来のソフトウェア再販モデルを継承しているものだと言える。一方のWindows Liveは同サービスへのトラフィックを促進できるパートナーを求めてはいるが、これはあくまでも広告主の拡大を狙った動きである。

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