SRA社長 鹿島 亨氏――「SOA、OSS、海外展開に注力し、SRAならではのビジネスを広げたい」(1/2 ページ)

SOAやOSSといった最新分野の先進技術をいち早く取り入れ、海外市場にも積極的に乗り出している国産ソフト会社SRA。来年で創業40周年を迎える日本のソフト産業のパイオニア的存在である同社が描くこれからの成長戦略とは。鹿島亨社長に話を聞いた。

» 2006年05月30日 18時00分 公開
[松岡 功,アイティセレクト]

 その分野では知る人ぞ知る存在のプロ集団アイティセレクトSRAに対する筆者のイメージはまさにそれだ。来年で創業40周年を迎える同社は、日本のソフト産業のパイオニアとして今も確固たる存在感を持つ。年商約340億円の中堅ソフト会社ながら、目を引くのは顧客企業の業種の幅広さと錚々たる顔ぶれ。系列にかかわらず日本を代表する企業の名がズラリと並んでいるのは、まさしく独立系ソフト会社ならではの信頼と実績の証しだ。さらに注目されるのは、取り引きの8割以上が直接顧客と契約を交わす“一次受け”であること。同規模の同業者ではまずあり得ない比率だ。そんなSRAの強みはいったいどこにあるのか。同社を率いる鹿島亨社長に語ってもらった。

SRA社長 鹿島 亨氏

三つの取り組みが三つのニーズに合致

アイティセレクト IT分野の最近の動きで注目しておられる点は何ですか。

鹿島 まずベンダー側から見ると、ハードがコモディティ化し、OSもその傾向にある中で、ビジネスの主戦場がミドルウェアになってきましたね。ミドルウェアを制する者が…という状況になってきた。

 一方、お客様がITに求めておられるニーズも、スピード、品質、コストの順でプライオリティが明確になってきたと思います。日本ではコストのウエイトが幾分高いかもしれませんが、それでも品質ありき、でしょう。それよりも最近の傾向としてお客様から強い要請があるのはスピード。インターネットがベースになった今、何をするにもスピードが勝負の最大の決め手になっています。

アイティセレクト そうした動きに対し、SRAはどのように取り組んでいるのですか。

鹿島 他にないミドルウェアの仕組みを形成するために、いち早くOSS(オープンソースソフト)の技術を取り込んで、SRAならではの製品・サービスを提供しています。私たちは、OSSがアプリケーション・プラットフォームとしてのミドルウェアの選択肢の一つとして定着していくと見ています。そこでぜひ強みを発揮したい。

 また、2年ほど前からSOA(サービス指向アーキテクチャ)に注目し、ここにきて本格的な取り組みを始めています。SOAに着目したのは、ソフト資産の再利用とインテグレーションの効率アップが可能になるからです。さらにこのSOAをOSSベースのミドルウェアの仕組みに取り入れ、お客様のシステムづくりに生かしていきたいと考えています。

 加えて、私たちが注力している取り組みとしてもう一つ挙げておきたいのは、グローバルなビジネス展開です。社内では「グローバルリーチ」と呼んでいますが、国内だけでなく海外でも通用する製品・サービスを展開していこうと。グローバルリーチについては、私が米国でSRAとしての活動を始めたのが発端ですが、今では米国4カ所をはじめオランダ、インド、中国などに拠点を設けて、販売だけでなく開発の体制もグローバル化を進めています。

アイティセレクト そうした取り組みがユーザーニーズにも合致すると。

鹿島 そうです。先ほどお客様がITに求めておられるニーズとして、スピード、品質、コストの3点を挙げましたが、私たちが今注力している三つの取り組みは、それらのニーズに対応するものです。まずスピードについてはSOAが効果的に作用します。品質についてはOSSが威力を発揮し、SOAも寄与するでしょう。さらにコストについてはOSSとグローバルリーチが最も強みとするところで、SOAも寄与するはずです。こうして見ていくと、私たちの取り組みは間違っていないと確信できます。

 もともとSRAは、ソフトのエンジニアリングにおいて品質と効率を一生懸命上げる努力をしてきた人間の集まりなんですよ。その目的を達成するための手段としてこれまで選択してきたのが、UNIXであり、オブジェクト指向技術であり、インターネットだった。SOA、OSS、グローバルリーチといった取り組みもその延長線上にあります。それは取りも直さず、長年にわたってお客様のニーズに合致する仕掛けづくりに取り組んできた証左でもあります。その積み重ねこそが今日のSRAを築いているわけです。

アイティセレクト ただ、ユーザーの間では「OSSはまだ安心して使えない」との声も根強く、SOAの理解も深まったとは言えないようですが。

鹿島 安心してOSSを使えないというお客様の不安を払拭できないのは、OSSベースの製品・サービスを責任を持って扱うベンダーがまだまだ少ないからでしょう。SRAは今それをしっかりとやっているつもりです。その甲斐もあって、当社としては年間売上高のうち3分の1程度の案件が何らかのOSSを含んだものになっています。

 一方、SOAについては現在当社でも試行プロジェクトをいくつか走らせている段階で、本格的に浸透していくのはこれからです。ただ、すでに米国ではSOAを適用した成功例が数多くあり、その効果については実証済みだと言えます。ぜひ国内のお客様でも、SOAの適用を競争力強化の戦略として打ち出されるようなところがどんどん増えてきてほしいと思います。

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