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» 2006年06月01日 18時08分 UPDATE

SAPPHIRE '06 Paris Report:「BIはコモディティへ、差別化となる時代は終わる」とSAP (1/2)

独SAPがBIに躍起だ。同社はビジネスによるイノベーションを実現するアーキテクチャ、Enterprise Service Architecture(ESA)を提唱しており、ビジネスユーザーのツールであるBIを組み込むことは、同社の戦略上重要だという。

[末岡洋子,ITmedia]

 フランス・パリで開催中の「SAPPHIRE '06 Paris」で5月31日、同社の幹部がBIをテーマとしたラウンドテーブルを開き、戦略やビジョンを語った。

全アプリケーションにBI機能を組み込み

 ラウンドテーブルでは、米SAP LabsのLLC部門に勤務し、xAppsにおけるBIを担当するローマン・ブカリー氏、NetWeaverでBIを担当するローサー・シューベルト氏の両氏が記者の質問に答えた。

roman.jpg ローマン・ブカリー氏は、「BIユーザーを広げるためには、ビジネスユーザーを支援し、ニーズを把握するBPX(ビジネスプロセスエキスパート)が必要」と語る
schubert.jpg ローサー・シューベルト氏

 ブカリー氏によると、現在、BIを利用するBI人口は400万〜500万人。だが、SAPの見積もりでは、BIの潜在人口、つまりビジネスプロフェッショナルの人口は1億人。この1億人が日常業務の中でBIを使えるようにするのがSAPの狙いのようだ。

 これまでBIがなかなか起爆しなかった理由として、ブカリー氏は、「ビジネスユーザーは自分たちのニーズをIT側に伝える機会が少なく、機能や技術レベルの話がほとんどなかった」という。

 そこでSAPでは、プラットフォームのNetWeaver、アプリケーションのxAppsの両方でBIを組み込む。これにより、「ユーザーのエクスペリエンスは大きく改善される」とローサー氏。同社は2007年ごろには、全アプリケーションにBIを組み込む予定であり、SAPにとって分析は、処理、コラボレーションなどとともにコア機能の一つとなる。

 これにより、1)アプリケーションのコンテクストに対応、2)モデル駆動型、3)取引かリポートかを意識せずにアクションを起こせる“アクショナブル・インサイト”、という3つを特徴とするBIの提供を目指すという。

 ユーザーインタフェースでは、米Microsoftの「Office」と連携する「Duet」、米Adobe SystemsのFlash、Flexを活用する代替UI“Project Muse”などが取り組みとなる。NetWeaverのコンポーネント、「Visual Composer」を利用することで、ビジネスユーザーはコーディングなしに自分の必要な機能を組み合わせることが可能だ。

 「ビジネスとITの連携が実現する」とブカリー氏。「BIが根本から変わる」と続ける。さらにシューベルト氏は、「ビジネスの方向性は、分析により把握、決定が可能だ。変化のスピードが加速している現在、BIはコアの機能であるべきだ」とまとめる。

BIを高速に、アクセラレータのBIAを提供へ

 同社のもう一つの取り組みが、米Intelとの協業による「Business Intelligence Accelerater(BIA)」だ。この日の基調講演でも、同社の製品・テクノロジーグループ担当プレジデント、シャイ・アガシ氏が、米IBMと米Hewlett-PackardのBIAを紹介した。実際のところ、処理スピードはBIに不可欠な機能だ。アガシ氏が、「ビジネスユーザーは(負荷を考えず)次から次に表やグラフを表示するのが好きだ」と述べると、会場からは苦笑いが起こった。しかし、BIAのアーリーユーザーの1社である米Coca Colaは、BIAにより、レポーティングの性能が90%改善したという。

bia.jpg 米IntelのXeonを搭載した米IBM(左)と米Hewlett-Packard(右)のブレード型IBAサーバ

 SAPは「Business Warehouse」をNetWeaverに統合済みで、BIAは「NetWeaver BI」とともに利用するアドオン機能となる(追加ソフトウェアライセンスが必要)という。ハードウェアはブレードサーバのため、規模に応じてブレードを追加できる拡張性も特徴となるわけだ。

エンタープライズ検索、Project Arago

 SAPがBIまわりで取り組んでいることの一つに、検索性も挙げられる。すでにNetWeaverではネイティブの検索エンジンを搭載しており、今後は“エンタープライズサーチ”として、ビジネスプロセス、ビジネスアクティビティのコンテクストに基づいた検索機能の配信を目指す。現在、“Project Arago”として、独自技術をベースに開発が進んでいるという。

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