SOAは急速に現実解になっている――米WebMethods社長

SOAにおいてESB(エンタープライズサービスバス)機能を中心に製品やサービスを提供する米WebMethodsのデビット・ミッチェル社長に話を聞いた

» 2006年06月12日 19時06分 公開
[聞き手:怒賀新也,ITmedia]

 SOA(サービス指向アーキテクチャ)においてESB(エンタープライズサービスバス)機能を中心に製品やサービスを提供する米WebMethodsのデビット・ミッチェル社長に話を聞いた。EAI(エンタープライズアプリケーション統合)からSOAへとメインメッセージをシフトさせた同社は、業績面が好調に推移し、SOA市場の本格的な立ち上がりを見込んで勢いを増している状況という。

来日したデビット・ミッチェル社長

ITmedia 現在のWebMethodsのビジネスの状況を教えてください。

ミッチェル ビジネスは現在非常に良い状況です。3月に締めた2005年度の業績はこの10年で最高でした。第4四半期のライセンスの売り上げは対前年度比25%の成長を達成しました。

ITmedia 好調な理由は?

ミッチェル 幾つか理由はあります。最大の要因は、より多くの企業がSOAによるシステム構築やBPMの改革を実現したいと考えていることにあります。そうしたニーズにわれわれの製品がマッチしていることによって、価値を提供できています。

ITmedia どんな状態にある企業に最もWebMethodsの製品の導入効果がありますか。例えば、レガシーマイグレーションのニーズが最も多いですか?

ミッチェル グローバル2000に相当するBank of AmericaやJohnson & Johnson、日本では東京スター銀行、イオンなどがコアシステムをインテグレーションし、プロセスをリアルタイムでモニタリングし、業務をダッシュボードで見られるようにしています。プロセスはレガシーやパッケージのアプリケーションによる構築が典型的ですが、システムをSOAで構築し、プロセスと業務をリンクさせます。

ITmedia 米国においてSOAは選択肢として確立されていますか?

ミッチェル SOAはコンピューティングアプローチです。WebMethodsは、レジストリ、ガバナンス、管理をビジネスプロセスにリンクさせるというやり方でSOAによる解決策を提供しています。確かに昨年までSOAは主要な要件ではありませんでしたが、今年になって急速に欧米において「主な」要件になりました。その理由は、新しいビジネスの要件を満たす上で、既存のテクノロジーを再利用したいとユーザーが考えているからです。

ITmedia SOAでシステムを構築する際に気を付けるべきことはどんなことですか。組織面、技術面などに分けて教えてください。

ミッチェル 人、プロセス、テクノロジーという側面に分けることができます。まず、人について、再利用の文化を普及させることがカギです。人、プロセス、テクノロジーの3つがかみ合うことが何よりも重要です。

 この10年間を振り返ると、さまざまな企業がいろいろなインタフェースを構築し、それをほかのインタフェースで接続しようとしてきた経緯があります。そのときの課題は接続がバラバラに行われてしまい、中央で管理することができなかったことにあります。

 Webサービスにおいても、それぞれが同様にサービスを構築することまでは同じですが、インタフェースが標準化されている点が異なっています。SOAによるシステム構築を実践する場合の課題は技術というよりはむしろ、企業文化的なものにあるといっていいでしょう。

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