シンクライアントの特徴とは?シンクライアントの真価を問う(4/5 ページ)

» 2006年06月13日 14時00分 公開
[宮本久仁男,ITmedia]

 さて、このシンクライアントを用いることで、上述の課題がどのように解決できるかを簡単に見ていこう。

・TCO削減

 まず頭に入れておいてほしいのは、ユーザー1人ひとりがPCを使う場合のTCOは見えづらいという点だ。一括管理を行えるようなシステムもあるが、基本的にソフトウェアの導入は、個々のユーザーによる操作を必要とすることが多い。そして、ユーザーの習熟度には個人差があるため、そこでは当然トラブルが発生する。

 シンクライアントの場合、そうしたコストの可視化が可能となる。トラブルの発生箇所も含め、シンクライアントの機能を提供するサーバのメンテナンスコストを管理者側で把握できるからだ。また、端末では業務に必要なソフトウェアのみを使わせるという方針を取る場合は、シンクライアントサーバ上でソフトウェアの集中管理も可能になる。

・情報の集約およびリスクの減少

 シンクライアントを用いれば、基本的にはデータを外部に持ち出すことなく業務を遂行できるようになる。端末には「画面」と「入力装置」しか付いていないのだから、そもそもデータの保存のしようがない。端末を盗まれても、その物理的な価値の損失にとどめることができる。

 もちろん、画面をのぞき見されたり、端末がサーバに接続された状態で情報を書き写されるなどして部分的に情報が流出する懸念はある。しかし、PCごと大量のデータを持っていかれる場合に比べると格段にリスクは低減する。

 また当然のことだが、サーバは端末よりも絶対数が少ない。このため防御のポイントも絞りやすい。

シンクライアントが生む新たなメリット

 このようにシンクライアントによって、TCOや情報流出といった課題が解決されることを紹介したが、それ以外に新たなメリットも生まれる。その中から2つの項目を紹介したい。

・業務継続性と自由度の拡大

 シンクライアントシステムを使えば、「机の上でやっていた仕事の続きを、別の拠点に移動してもすぐに継続する」という環境を容易に実現できる。

 同じことならば「ノートPCを持ち歩いて仕事をすればいいじゃないか」と考える人もいるかもしれない。しかし、仕事ができるだけのデータを含んだノートPCを持ち歩くこと、それ自体をリスクと考えることもできる。シンクライアントシステムを使うことで、仕事関連のデータは全部サーバ側に持たせ、外部からそのシステムに接続することで、リスクの低減と業務継続性の両立が可能になる。

・端末管理のアウトソーシングの可能性

 前述のTCOの可視化をさらに推し進めると、端末管理を可視化し、切り分けたうえで外部に委託することも考えられる。これまでPCの管理は、組織内の人員がボランティア的に行っていたところも多いと想像しているが、この部分を外部委託できるメリットは大きい。

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