OfficeをSAPプラットフォームに――Duetはどこまで成功するか(1/3 ページ)

MicrosoftとSAPが共同開発した「Duet 1.0」により、ユーザーはOutlookからSAPのERPアプリケーション「mySAP」に自分でアクセスできるようになる。ただし、Duetを拡張したりカスタマイズしたりするためには、パートナー各社は後続のリリースを待つ必要がある。

» 2006年06月22日 07時00分 公開
[Chris Alliegro,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 MicrosoftとSAPが共同開発した製品により、顧客は「Microsoft Office」を介してSAPのエンタープライズリソースプランニング(ERP)アプリケーション「mySAP」のビジネス機能に自分でアクセスできるようになる。「Duet 1.0」(以前はコード名で「Mendocino」と呼ばれていた)は2006年6月に出荷され、その後、追加のmySAPプロセスをOfficeで利用できるようにするための2種類の「バリューパック」が2006年中に提供される。Duetにより、企業はより多くのユーザーにSAP製品へのアクセスを提供できることになる。またMicrosoftはDuetにより、Officeをカスタムビジネスアプリケーション用のクライアントプラットフォームとして位置付けやすくなる。ただし、Duet 1.0では開発者向けのツールが提供されないため、同製品をカスタマイズするにはパートナー各社は後続のリリースを待つ必要がある。

Duetとは?

 Duetは2005年4月に発表されたMicrosoftとSAPの共同開発製品。DuetはOffice 2003アプリケーション(主にOutlook)を、SAPのERPアプリケーション「mySAP」へのフロントエンドとして使用する(mySAPは「R/3」の後継版で、R/3のメインストリームサポートは2009年の終了が予定されている)。mySAPには、財務管理、人事、サプライチェーン管理、倉庫/流通アプリケーションなどの標準的なERP機能のほか、顧客関係管理(CRM)機能が含まれる。DuetはmySAPにのみ対応する。

 Duetは、以下の3つの主要コンポーネントで構成される多層アーキテクチャを採用する。

  • SAPデータ/プロセスへのアクセス、およびそれらを使った作業のための、Officeアプリケーション(主にOutlook)用のクライアントサイドの拡張機能(タスクペインと拡張メニュー)
  • クライアント設定データの保存/配布(Duetサービスの提供をユーザーの役割ベースで管理する場合など)、電子メールメッセージに含まれる情報の書式化/ルーティング、およびDuetのセキュリティ管理(ユーザー認証など)のための中間層サーバ
  • Duetで必要となるSAPの基本的な機能/プロセスをWebサービスインタフェースでラップするためのmySAP用アドオン

 MicrosoftとSAPはかねてから、通常はバックオフィスのスペシャリストや管理者の管轄となるビジネスデータやビジネスプロセスに、より広範な多部門の従業員がセルフサービス方式でアクセスできるようにするための取り組みを共同で進めており、Duetはそうした取り組みの一環として開発された製品だ。セルフサービス方式のアプリケーションでは、バックエンドのビジネスシステムのデータを社員が自分で閲覧したり更新したりできるため、幾つかのメリットが期待されている。例えば、そうしたアプリケーションがあれば、通常、データ入力の重複(例えば、タイムトラッキングを行えるよう、カレンダのアポイントメントデータをOutlookからバックエンドのERPシステムに転記したりなど)が軽減/解消され、また、日常的なタスクであれば、バックオフィスのスタッフの手をあまり煩わせずに遂行できることになる。

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