Microsoftは「SoftGrid」を有するSoftricityを買収したが、独自の仮想化技術を有する同社について、今後の計画を明らかにしていない。しかし、同社の買収は重要な意義があり、魅力的な可能性を開くだろう。
Microsoftは買収したSoftricityの技術に関する今後の計画を明らかにしていないが、将来的に、デスクトップアプリケーションをサブスクリプションサービスとして提供するためのメカニズムとして同社の技術を利用するかもしれない(SoftGridの詳細については、「Windows仮想化に新たな道を開くSoftGridとは?」を参照)。
Softricityは非上場企業で、マサチューセッツ州ボストンに本社がある。Microsoftの買収条件は公表されていない。
Softricityは以下の点から、Microsoftにとって格好の買収相手と言えそうだ。
Microsoftの.NET共通言語ランタイム(CLR)は、SoftGridが提供する隔離や展開における特徴の一部を、.NET Frameworkベースのシッククライアントアプリケーションにもたらす。しかし、既存ソフトは、これらの新技術を利用するには完全に作成し直す必要があり、それが実際に行われることはなさそうだ。さらに、SoftGridは、.NETがカバーしていない管理機能、例えば、ユーザーがあるアプリケーションを利用する権限を失った場合に、そのアプリケーションを無効にするなどの機能も提供する。
現在、SoftGridの最大の難点は、シート当たり200ドルというコストだ。だが、MicrosoftがSoftGridのSystemGuard技術をデスクトップOSに組み込み、サーバコンポーネントをSMSやWindows Serverに統合する可能性が考えられる。顧客がSoftGridの機能をWindows ServerやSMSの基本的なCAL(クライアントアクセスライセンス)で利用できるようになれば、SoftGridはコストが下がり、より多くの顧客にとって魅力的なものになるだろう。SoftGridがWindows環境に広く浸透すれば、ISVや企業開発者は、管理しやすいという理由だけでWebアプリケーションの作成を選択するのではなく、シッククライアントアプリケーションの開発を志向するようになるだろう。
SoftGridがMicrosoft製品になれば、サードパーティベンダーからのサポートに関する懸念の多くが解消され、SoftGridは顧客やパートナーにとって、より安心して購入できるものになる。MicrosoftがOfficeなど自社のクライアントアプリケーションをSoftGrid上でテストし、サポートするのは確実であり、ISVも後に続くだろう。SoftGridがOSに標準コンポーネントとして統合されればなおさらだ。さらに、MicrosoftはOSとSoftGridをより円滑かつ高速に連携させる作業に取り組むだろう。
MicrosoftがSoftGrid技術をWindowsに統合すれば、サブスクリプションベースのWeb経由で提供され、ブラウザクライアントが不要なソフトが開発しやすくなる可能性がある。そうなれば、アプリケーションサービスプロバイダーが恩恵を受けるだけでなく、MicrosoftはOfficeをはじめとする自社のデスクトップソフトを、顧客に多額の管理/サポートコストの負担を強いないサブスクリプションサービスとして提供するようになるかもしれない。
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