進むデータベース開発とVisual Studio Team Systemの融合

Visual Studio Team Systemに追加される新しいエディションにより、データベースプロフェッショナルは変更管理や自動テストを行えるようになり、IT開発者はデータベース管理者とのコミュニケーションやコラボレーションを改善できるだろう。

» 2006年07月03日 07時00分 公開
[Greg DeMichillie,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 Microsoftのアプリケーション開発スイート「Visual Studio Team System(VSTS)」に追加される新しいクライアントエディションにより、データベースプロフェッショナルは変更管理や自動テストを行えるようになり、IT開発者はデータベース管理者とのコミュニケーションやコラボレーションを改善できるだろう。データベースプロフェッショナル(データベーススキーマ/ストアドプロシージャ/クエリの設計/実装を専門とするIT開発者)向けの統合開発環境「Visual Studio 2005 Team Edition for Database Professionals」はプレビュー版が2006年6月のTechEdカンファレンスで発表され、最終版は2006年中のリリースが予定されている。

 2006年6月のプレビュー版はSQL Server 2005しかサポートしないが、最終版はSQL Server 2000もサポートする。

データベースプロに対応するVisual Studio Team System

 新しいエディションには、Visual Studio Team Systemを構成する以下の製品がセットされる。

  • ソフトウェアの開発者、テスト担当者、アーキテクト、およびデータベースプロフェッショナル(今回新たに追加される)向けに特化したVisual Studioの各クライアントエディション
  • Team Foundation Server。アーキテクト、開発者、テスト担当者、プロジェクトマネジャー、そしてデータベースプロフェッショナルなど、ソフトウェア開発にかかわるすべてのメンバーに、ソフトウェア開発プロジェクトに関する情報を共有し、コラボレーションを図るためのインフラを提供する。

変更管理
 VSTSでは既に、開発者チームは変更を個別に追跡し、望ましくない副次的影響をもたらす変更を取り消すなどして、アプリケーションのソースコードへの変更を調整できるようになっている。新しいVSTSエディションでは、こうした変更管理をデータベーススキーマにも適用できる。データベースでスキーマを直接変更するのではなく、データベースプロフェショナルはTeam Foundation Serverを使って、スキーマの変更を計画したり、データ競合の可能性を識別/修正したりできる。例えば、ユーザーがテーブルの列の名前を変更する場合、VSTSはストアドプロシージャからそのフィールドへの参照を自動的に探し出し、それを適宜、更新することができる。そして、ユーザーはスキーマの変更をテスト環境に適用する。すべてが適切に動作することが確認された時点で、サーバはそれらの変更をプロダクションシステムで実行するために必要となるスクリプトを自動的に生成する。

自動テスト
 アプリケーションの性能とスケーラビリティを正確に測定するためには、開発者は最終的な本番環境にできる限り近い環境でアプリケーションをテストする必要がある。だが、会社方針では、セキュリティが不備になりがちなテスト環境に機密データ(顧客のクレジットカード番号やそのほかの個人データなど)をコピーすることが禁じられている場合が少なくない。Team Edition for Database Professionalsでは、開発者は実際のデータに似たサンプルデータを生成できるため、開発者はより良い環境でアプリケーションの性能を測定できる。

コラボレーション
 開発者とデータベースプロフェッショナルはワークアイテムの共通セットを共有したり、プロジェクトのスケジュールとステータスの共有ビューを利用したりできるため、企業アプリケーションの構築方法の合理化につながる。

Team Edition for Database Professionalsの提供形態

 MicrosoftのOpen Licenseプログラムで購入する場合、Team Edition for Database Professionalsの基本価格はVSTSのそのほかのクライアントエディションと同じく4040ドルとなる。4つのクライアントエディションがすべて統合された「Visual Studio Team Suite」はこれまでどおり、8079ドルで提供される。Team Foundation Serverは今後もOpen Licenseプログラムの基本価格2230ドルで別個にライセンスが必要となる。

 だが、顧客はVisual Studio Team Suiteのコンポーネントを複数のユーザーで分け合うことはできない。VSTSのそのほかのエディションに含まれている機能を必要とするデータベースプロフェッショナルは、あまりいないだろう。そのため、自分用のクライアントエディションのテスト機能だけでなく、しばしば、ほかのエディションのテスト機能にもアクセスする必要があるソフトウェアアーキテクトや開発者とは異なり、データベースプロフェッショナルにとっては、Visual Studio Team Suiteはそれほど魅力的な選択肢にはならないだろう。

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