XPロゴより高いハードル、Vistaで厳格になるソフトウェア認定(2/3 ページ)

» 2006年07月04日 07時00分 公開
[Greg DeMichillie,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 認定アプリケーションは、実行に必要な特権レベルをWindowsに通知するXMLマニフェストの添付が不可欠となる。また、アプリケーションのメインプロセスは管理者特権を要求しないものでなければならない。場合によっては、UAC要件はアプリケーションのアーキテクチャに大幅な変更を求めることになるかもしれない。ただし、システムユーティリティ関係(ディスク復旧ユーティリティなど)は、この要件が免除される。それらユーティリティの基本機能は、管理者特権を前提とするためだ。それ以外のゲームや生産性ソフトウェアなどのアプリケーションなどは、この要件が免除されることはない。

x64サポート
 認定アプリケーションは、Vistaのx64エディションをネイティブ、あるいは32ビットエミュレーションモードで実行できなければならない。Itaniumサポートは要求されない。そのため次の2つのタイプのアプリケーションは、実行時に問題が生じる可能性がある。まず、インストーラやアプリケーション本体に16ビットコードを含むもの。64ビットWindowsでは、16ビットコードがサポートされないためだ。もう1つは、カーネル拡張機能を含むもの。64ビットWindowsでカーネル拡張機能を実行するためには、64ビットに移植しなければならない。

署名ファイルとドライバ
 認定アプリケーションはAuthenticodeでデジタル署名されていなければならない。

バージョンチェック
 認定アプリケーションは、実行するWindowsのバージョンを正しくチェックし、バージョンが上がっても問題なく実行できなければならない。以前、Windowsのバージョンを正しくチェックできないアプリケーションがあり、サービスパックのインストール後に実行できないことがしばしばあった。Microsoftはサンプルコードを提供し、Windowsバージョンの適切なチェック方法をデモしている。

ターミナルサービスとユーザー切り替えのサポート
 認定アプリケーションは、複数のユーザーが同時に利用できなければならない。そのためにアプリケーションは、ターミナルサービス、リモートデスクトップ、ユーザー切り替えで正しく動作できる必要がある。3Dグラフィックスを用いるアプリケーションには例外が認められるが、それらのアプリケーションは起動時にその旨をユーザーに通知し、クラッシュせずに終了できなければならない。

インストレーションの要件

 インストレーション要件は、1台のPCを利用するエンドユーザーから数百台のシステムを担当するIT管理者まで、アプリケーションが確実にインストールできることを保証するものだ。

WindowsインストーラまたはClickOnceの利用
 Windowsインストーラの利用だけを推奨するXPロゴと違って、Vistaの認定アプリケーションはWindowsインストーラかClickOnceを利用することになる。また、さまざまな技術的要件によって、インストールやインストールに失敗したときのロールバックが適切に実行できるように、アプリケーション製品のパッケージ方法も規定される。認証テストはインストール中の失敗をシミュレートし、インストーラが正しくロールバックできるかどうかを検証する。

コマンドラインおよびグラフィカルインタフェースのインストレーション
 認定アプリケーションはWindowsインストーラに加え、コマンドラインからのインストールをサポートし、サイレントインストールのオプションも用意しなければならない。

信頼性の要件

 認定ロゴプログラムには、アプリケーションのクラッシュを減らし、再起動の必要性を少なくするための要件も含まれる。

アプリケーションの失敗を削減
 認定ロゴを受けるためには、Windowsエラーレポーティングからクラッシュデータを受け取るためのサインアップが必要だ。また、製品のライフタイム中に60パーセント以上のクラッシュを修正しなければならない。開発者が作成したフィックスは、Windows Updateに提供してエンドユーザーに配布することになる。Microsoftは数年前からWindowsエラーレポーティングへのサインアップを開発者に推奨してきたが、今回、認定ロゴの要件にしたことにより、サードパーティからの参加が大幅に増加すると見ている。加えて、検証プログラムは、アプリケーションの信頼性をさまざまな面からテストする。例えば、安全性に問題があるために“禁止された”Windows APIを利用していないかチェックしたり、ハードウェアやOSのエラーをシミュレートして、不安定な条件でアプリケーションを実行することなどが含まれる。

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