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» 2006年07月04日 08時00分 UPDATE

商品企画の最前線:短命時代のモノづくり、「逃げ切り」にヒント (1/3)

商品寿命が短命化する中で、今後製造業者はどのように対応していくべきか。モノづくりで経済大国の地位を確立した日本にとって重要なテーマでもある。キーワードはPLMである。

[怒賀新也,ITmedia]

 現在、巷にある多くの製品の「ライフサイクル」が短縮化する傾向にある。例えば、携帯電話の製品寿命はいまや3カ月ともいわれるほどだ。経済の成熟化による消費者嗜好(しこう)の多様化を映しているともいえる。厳しい経営環境に対して、今後製造業者はどのように対応していくべきか。モノづくりで経済大国の地位を確立した日本にとって極めて重要なテーマでもある。

 そんな中で、製造業が状況を脱するためのヒントとして、福島の女性向けのアパレル製品の企画、販売を手がけて急成長している、ハニーズに注目してみたい。ハニーズのビジネスのコンセプトは「売れるものだけをつくって売る」こと。そのコンセプトの強さが出たのか、現在は全国各地にチェーン展開する東京証券取引所の一部に上場する優良企業である。

「売り逃げる」ビジネス

 ハニーズでは、デザイナー自らが渋谷などの街に出て、各年齢層の女性が着ている服を調査する。聞き込みをして生の声を拾うこともある。デザイナーは、「ボーダー」や「マリンスタイル」など、その時にヒットしているファッションのデザインを素早く把握し、商品を企画する。25歳前後の女性がほとんどの社内で会議が催され、それぞれの企画について商品化を決めるための多数決が行われる。

 同社は、こうした会議を1週間単位で行うことで、「デザインの人気のピーク時に商品を投入して、売って逃げ切る」戦略を実現している。ちなみに、1つの企画の商品化が決まると、製造委託先である韓国の提携会社と連携して製造作業に入り、1カ月後には新商品がもう店頭に並んでいる。

 この手法において同社は、デザインの人気の上昇期にも、下降期にも付き合わない。一瞬のピークにだけ照準を絞って商品をつくり、売り切ってしまうため、投資効率が非常に高い。同社はすべての商品をこのコンセプトで製造販売しているため、企業全体としての利幅も大きくなるというわけだ。

 こうした事業モデルは、従来の製造業のプロセスからすると極端なものだ。また、アパレルならまだ可能かもしれないが、各種の部品を調達するプロセスが組み込まれているような組み立て型製造業者の場合は実現が難しい。しかし、商品の企画から製造、販売までに掛かる期間である「タイムツーマーケット」がますます短縮化していることについては、いずれの製造業者にもかかわる状況といっていい。

 実際に、タイムツーマーケットの短縮化を図るための取り組みもさまざまある。代表的なのが、PLM(製品ライフサイクル管理)である。

 PLMは、製品の企画、開発から設計、製造、生産、出荷後のサポートやメンテナンス、生産・販売の打ち切りまで、製品のすべての過程を一貫して包括的に管理することで、開発期間の短縮、生産の効率化、そして市場の求める製品を適切な時期に市場投入することを目指す経営コンセプトと定義される。

 「ゴーン改革」によって業績のV字回復を果たした日産自動車も、製品開発にPLMを導入し、タイムツーマーケットの短縮に成功した。ヒット商品である「Note」の製品開発期間は、かつての24カ月から、10.5カ月にまで短縮された。

 さらに、トヨタ自動車でも、CADツールを使って開発のデジタル化を進めることで、8カ月にまで開発期間を短縮させた。昔は、粘土の模型を使うクレイモデルという方法をとっていたところを、3D CADツールを使ったシミュレーションに置き換えることで可能になるものだ。

コンサルタントに聞くPLM

 ここで、コンサルティング企業のベリングポイントでシニアマネジャーを務める北澤英人氏、マネジャーの山崎周氏に、PLMの観点から製造業の商品開発について話を聞く。

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