Officeの組織再編は規定路線に――MSの新人事を分析(1/3 ページ)

最近の組織再編では、Office部門とMicrosoft TV部門で長年のリーダーが交代し、米国の中小規模法人向け販売チームでは幹部の再編成が行われた。

» 2006年07月07日 07時00分 公開
[Rob Helm,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 最近の組織再編では、Office部門とMicrosoft TV部門の後任リーダーにはそれぞれ、密接に関係するグループの古くからの幹部が任命されている。これらの動きは、この2つの分野におけるMicrosoft戦略が大幅な変更なく、今後も継続されることを意味している。一方、米国の中小規模法人向け販売チームの幹部の再編成により、小規模企業をターゲットとするパートナー各社は米国市場で何人かの新顔と接することになる。

Office部門幹部の後任に2名のベテラン

 Jeff Raikes社長が率いるビジネス部門では、長年Office部門の幹部を務めたのち2006年3月にWindowsクライアント部門に異動したSteven Sinofsky氏の職務が、古くからOffice部門に所属している2人の幹部に分配された。

Antoine Leblond氏
 Leblond氏はOfficeプロダクティビティアプリケーション担当副社長に昇進した。同氏は今後、Officeスイートと関連アプリケーション(Visioなど)の設計/開発/テストを統括する。Leblond氏はこれまではOffice開発のプログラム管理を担当していた。同氏は1989年以来Office部門に所属し、同スイートの共有サービス(ユーザーインタフェースフレームワークやVisual Basic for Applications環境など)の設計にも参加している。そのため、今回の同氏の就任により、Office部門の設計アプローチが大きく変わることはなさそうだ。

Kurt DelBene氏
 DelBene氏はOfficeビジネスプラットフォームグループ担当副社長に任命された。同氏は今後、SharePoint、Project、Grooveの各製品ラインの設計と開発を統括する。DelBene氏はMcKinseyの元コンサルタントで、Microsoftには1992年に加わった。既にSharePointとProject製品ラインを統括していた経験を持つ同氏にとって、今回の異動はマイナーチェンジだ。

 Leblond氏とDelBene氏はいずれもRaikes氏の直属となる。

 Officeデスクトップスイートとサーバ製品ラインはこれまで、Sinofsky氏のもと、共同戦略を追求してきた。例えば、Officeスイートには各種サーバ向けのフックが組み込まれ(SharePointドキュメントライブラリ用のチェックアウト/チェックインコマンドなど)、一方、サーバにはOfficeスイートを補完する機能が組み込まれている(ExcelスプレッドシートのWebベースの配信など)。Leblond氏とDelBene氏はいずれもこうした戦略に参加してきており、すぐに路線が変更されることはなさそうだ。

コンシューマービジネス周辺の動き

 Microsoftのコンシューマービジネスでも、幾つか組織変更が行われている。その多くは、Robbie Bach社長が率いるエンターテインメント&デバイス部門に関するもの。同部門では、Microsoftのコンシューマー向けソフトウェア/ハードウェア/モバイルデバイスプラットフォーム事業を扱っている。

Enrique Rodriguez氏
 Rodriguez氏はMoshe Lichtman氏の後任として、Microsoft TV部門の担当副社長に就任した。Rodriguez氏は今後、IPTVインフラや、ケーブルセットトップボックス向けのFoundation Editionプラットフォームなど、MicrosoftのTVプラットフォームの設計/開発/販売を統括する。同氏はこれまでMicrosoftのXboxパートナーシップの担当副社長を務めていたほか、Microsoft TV部門のパートナーである家電企業Thomsonの幹部も務めていた。同氏のこれまでの職務の後任は発表されていない。

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