業務改革の要――PLMの最新動向ベリングポイント寄稿(2/3 ページ)

» 2006年07月10日 08時00分 公開
[北澤英人,ITmedia]

各業界の事業戦略とPLM適用のアプローチ

  • 家電業界

 家電業界はデジタルカメラや液晶テレビに見られるように、新規事業が急激に立ち上がり、売り上げや出荷量が急増する反面、価格競争が激しく売価が急落するという特徴を持つ。そのため、十分にスケールメリットを享受できない段階で値崩れが発生し、採算が急速に悪化するというリスクに直面している企業が多い。

 そのため家電業界の製品戦略は、1.他社に先駆けて製品化し、2.製品ライフサイクル前半では技術/商品力で差別化し、3.製品ライフサイクル後半では価格優位性で差別化する、という戦略が取られる。

 その実現のために、開発購買の強化による開発リードタイムの短縮や、ライフサイクル収益管理を含む製品ポートフォリオ管理の強化、グローバル集中購買によるコストダウンの実現といった取り組みが行われている。

  • 自動車部品業界

 自動車部品業界は言うまでもなく、得意先である自動車メーカーの製品開発戦略、購買戦略に大きく影響される。トヨタでは新車開発期間を2〜3年後には8カ月にすることをターゲットにしている。系列が崩壊する中、それに追従できない自動車部品メーカーは生き残ることはできない。さらには自動車メーカーの海外生産化に伴い、自動車部品メーカーにおいても海外での開発比率が増加している。

 こうした事業環境の中、自動車部品メーカーでは生き残りをかけて、3D_CADを活用した設計〜金型製作〜生産リードタイムの抜本的短縮の取り組みや、海外開発拠点との設計開発情報、プロジェクト管理情報の共有化といった取り組みを積極的に行なっている。

  • 機械設備業界

 工作機械や半導体製造装置など、いわゆる機械設備業界は景気の変動よる需要変動が極めて大きいという特徴を持つ。またメーカーで用意した標準品をそのまま購入する顧客は少なく、ほとんどが個々の顧客ごとにカスタマイズした製品を提供している。

 そのためできるだけ標準化を推進してコストダウンを実現しながら、顧客対応設計などで個々の顧客への対応力を強化するという製品戦略を取るのが一般的である。またアフターサービスの強化による差別化と収益向上による事業の安定化にも取り組んでいる。これらの戦略を実現するために、仕様管理Databaseの構築やオプション選択型のマスター部品表構築、サービス部品表などアフターサービス情報の強化といったテーマに取り組む企業が増えている。

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