「このソフト、パッチが当たらないよ!」女性システム管理者の憂鬱(4/4 ページ)

» 2006年07月11日 08時30分 公開
[高橋美樹,ITmedia]
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 深呼吸して落ち着こう。少し前に購入した同じ構成の隣のサーバに同じ修正プログラムを適用してみた。すると、こちらはすんなりインストールが完了する。何が、違う? バックアップソフトのバージョンがわずかに違うのだ。しかし、MSDEのバージョンは一緒だ。

 「では、なぜ。なぜだ?」

 冷静さを取り戻したわたしはバックアップソフト会社のFAQを調べてみた。それらしい情報はない。マイクロソフトのサイトにも情報は、当然ない。英語版のサイトものぞくかと思った瞬間、ふとひらめいた。「待てよ、このメーカーの本社は米国だから、もしかしてMSDEは英語版だったりして」

 そんな報告はどこからも受けてないが、試してみる価値はある。半信半疑で英語版の修正プログラムをダウンロードして、実行。5秒後――例の「このコンピュータにSQLはない」。あのメッセージが英語で出、出ない! なんとインストールが完了したではないか。ジャストアイデアのソリューションで解決してしまった拍子抜け感があったものの、あまりのどんでん返しに言葉を失ってしまった。何でこのバージョンだけ英語版のMSDEなんだ!


 後日、バックアップソフトのメーカーに問い合わせたところ、「正規版購入者のサポートしか受け付けない」という冷たいコメントの後に、サポートということではなく単なる情報として教えるからと、驚きの情報を提供してくれた。いわく、そのバージョンだけ英語版のMSDEがインストールされる仕様だ、と。発売日が数カ月と変わらない前バージョンも、その次のバージョンも、日本語版のMSDEがインストールされる仕様なのに。

 サポート担当者のフレキシブルな応対に感動しつつも、決してバグとは言わないその姿勢に、多少ムッとしたのを覚えている。ソフトウェアメーカーにとっては、ローカライズの不統一という小さな小さなバグだろう。しかし、システムを管理する側から見れば、危険な脆弱性を野放しにする大きな大きな落とし穴となったわけだ。実際にウイルスに感染し、ネットワークに打撃を与えたあの2台も同じバグが感染の引き金になったものではないか。

 これらの経験は、わたしにバックアップソフトの動作不具合でさえ、セキュリティ対策に大きな影響を与える可能性があると教えてくれた。システム管理者とは、時に想定の範囲を超えた情報収集力と推理力を必要とされる職業なのであった。

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