米議会、データセンターの電力問題に関する法案を可決へ(2/2 ページ)

» 2006年07月13日 17時12分 公開
[Jeffrey Burt,eWEEK]
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 チップメーカーおよびOEM各社でも、製品のエネルギー効率の改善に取り組んでいる。IntelやAdvanced Micro Devices(AMD)などのプロセッサメーカーでは、マルチコア技術や仮想化機能などをプロセッサに組み込むことにより、総合的なパワーエンベロープ(消費電力枠)を削減しようとしている。ケスター氏によると、AMDは現在、2年前のチップよりも80%エネルギー効率の高い製品を提供しているという。システムメーカー各社も、電力消費を緩和するためにさまざまなハードウェア/ソフトウェア製品を採用している。

 Sun Microsystemsでは、エコフレンドリーな製品およびポリシーを積極的に推進している。同社は2005年、「UltraSPARC T1」(コードネームは「Niagara」)チップを発表した。Niagaraは単一のプロセッサに最大8個のコアを搭載し、IntelおよびAMDの従来型プロセッサよりも消費電力が少ない。

 さらにSunでは、社員が自宅で仕事をするのを支援することを目的とした「iWork」プログラムを実施している。カリフォルニア州サンタクララに本社を置くSunでエコ問題の責任者を務めるデビッド・ダグラス副社長によると、iWorkは同社のエネルギーコストを削減するとともに、通勤による環境への負荷を軽減しているという。同社は2005年、このプログラムで5000万ドルの経費を削減した。

 ダグラス氏によると、今回下院に提出される法案は、データセンターの電力問題に関する意識の向上とその対策に向けた「重要な最初のステップ」だという。

 「顧客との話し合いでは、電力問題が話題になることが多い。データセンターの冷却に関しては、多くの顧客が限界を感じている。新しい施設を建設するのは費用がかかり、エネルギー関連コストが最大の支出項目になろうとしている」(同氏)

 Sun、AMD、IntelをはじめとするITベンダー各社は4月、EPAのEnergy Starプログラムに参加し、ユーザーがサーバの消費電力を測定するための指標の策定に着手した。この指標は、車の燃費に例えることができ、異なるベンダーのサーバのエネルギー効率を比較するのに役立つ。

 また、Sun、AMD、IntelおよびHewlett-Packardは4月、EPAおよびAlliance to Save Energy(省エネルギー推進団体)とともにGreen Grid Allianceを結成した。Green Gridでは、データセンターのデザインや、使用する製品の種類など、さまざまな角度から電力消費問題に取り組む考えだ。その後、Dell、VMware、American Power Conversionなどのベンダーも同グループに加わった。

 ダグラス氏によると、家電製品に対するEnergy Starの格付けのように、何らかの指標があれば、電力問題に関心のあるユーザーにとって参考になるという。「これによってユーザーが正しい判断を下すプロセスが簡素化される」と同氏は話す。

 すでに独自の指標を導入したベンダーもある。例えば、SunのSWAP(スペース、ワット、パフォーマンス)はデータセンターの効率を測定する指標だ。しかし業界観測筋によると、必要とされているのは、ベンダー固有のものではなく、広く一般に受け入れられる指標だという。

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