Intelの管理職削減は転換計画の一端

今回のレイオフによって、人員削減その他の組織再編が完了するわけではない――オッテリーニ氏は従業員に向けたメモにそう記している。

» 2006年07月18日 11時19分 公開
[John G. Spooner,eWEEK]
eWEEK

 世界規模で1000人の管理職を削減する計画には、同社の将来がかかっている――とIntelは語っている。

 同社は7月13日朝から、レイオフ対象となる管理職らへ通知を始めた。今回の人員削減は、現在進められている自社事業の広範な経営見直しの結果としてIntelが起こす初めての動きとなる。

 ライバル企業である米Advanced Micro Devices(AMD)から競争上の圧力を受け続けているIntelは、管理職の余剰人員を取り除くことで社内の意思疎通と意思決定能力を強化し、競争力を高めたい考えだ、とeWEEKが入手した同社ポール・オッテリーニ最高経営責任者(CEO)から従業員に向けたメモには記されている。

 「このステップが重要なのは、当社の効率分析で判明した主要な問題――遅くて非効率的な意思決定プロセスの原因の1つが、多すぎる管理職層にあるということ――に対処するものだからだ」。結果的に、「当社の管理職層はあまりに厚く、効率的に機能していない」と同氏はメモに記している。

 今回のレイオフによって、Intelにおける人員削減あるいはその他の組織再編が完了するわけではないこともオッテリーニ氏は示唆している。

 「現在、当社のビジネスと業界の方向に沿うよう、自分たちの行動と組織の根本的な変革を進めている。投資、支出レベル、組織構造に関する分析および決定の完了に伴い、今後も特定範囲の削減などの行動を続けることになる」(同メモ)

 実際、Intelは総従業員数10万人のうち最大1万人〜1万5000人を削減する可能性があると、米カリフォルニア州サンフランシスコに本拠を置くAmerican Technology Researchのアナリスト、ダグ・フリードマン氏は7月13日付の報告書の中で指摘している。

 「(Intelが)PCを中心に据えた研究開発の合理化を進めるにあたり、投資家たちは1万人〜1万5000人範囲での人員削減に期待しているはずだ」と、フリードマン氏は同報告書で述べている。

 Intelの広報担当は管理職1000人のレイオフ計画を認めたが、フリードマン氏の報告書に関するコメントは避けた。

 大きな変革なしには終わらないとオッテリーニ氏が宣言した社内の見直しは、将来的にIntelをPC市場でより俊敏かつ競争力のあるプレーヤーに押し上げるための取り組みだ。

 今回配布されたメモは、オッテリーニ氏がAMDとの競争激化を確信していることを示している。また同氏は向こう数年におけるPC市場の成長鈍化も警告しており、こうした状況はIntel自身の売り上げを伸びにくくさせる。

 「競争は、当社の製品ライン全般にわたって激しくなるだろう。価格設定はアグレッシブなる。こうした現実をただ受け止めるだけでなく、この現実がこれまで業界内に築いた当社の地位と戦略的方向性の強みに影響することを認識しなければならない」(同メモ)

 「成長率の低い市場しか追求しない弱い企業の周りでは競争は起こらない。主導的立場にあり、高い売り上げ成長率を生み出す企業こそが、競争を呼び寄せるのだ」

 不振な第1四半期(1〜3月期)に続いて4月27日に発表されたIntelの経営見直し計画は、既に幾つかの変化をもたらしている。

 その1つが、XScaleアプリケーションプロセッサラインの6億ドルでのMarvell Technology Groupへの売却だ。6月27日に発表されたこの合意により、同製品に携わるIntel従業員1400人の大半がMarvellに移籍することになる。

 オッテリーニ氏が4月27日にアナリストらに伝えた内容から、このほかの変革も差し迫っているようだ――今回の経営見直しで同社事業に厳しく目を向け、特に赤字事業の再編、売却、閉鎖の可能性を検討すると、このとき同氏は語った。このメッセージは従業員に対する7月13日のメモでも繰り返された。

 レイオフの結果削減されたコストは、例えばIntelの中核ビジネスであるPC向け製品の研究開発への再投資に使われる可能性がある、とフリードマン氏は記している。

 このほかにも、Intelは競争力を高めるために積極的な動きに出ている。同社はCore 2 DuoプロセッサのデスクトップPC向けモデルを7月27日にリリースすると発表、またXeon 5100を6月26日に投入している。

 このデスクトップPC向けCore 2 Duoの価格もかなり低い価格帯に設定されている。例えばトップエンドの2.67GHz版「E6700」は530ドルで、これに対しAMDの2.6GHz版「Athlon 64 X2 5000+」の現行価格は696ドルとなっている。

 AMDは7月の値下げでこれに対抗すると宣言している。

 さらにIntelは、これまでの開発スピードを全体的に引き上げる取り組みも進めている。PCとサーバを支える電気回路の再設計を2年ごとに行うなど、これまで以上に短期間で新たなプロセッサアーキテクチャに移行する計画だ。

 こうしたスケジュールに従って、より多くのエレメントを再利用できるように簡略化された新たなアーキテクチャを導入することで、消費電力を制御しつつチップ性能を迅速に引き上げられると信じている、とIntelは語っている。

 なおIntelは7月19日に同社弟2四半期決算(4〜6月期)を発表する予定。このとき同社幹部陣から現在進めている経営見直しに関し、さらなる詳細を紹介するもようだ。

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