Microsoftチャネルを活用するDigipede

DigipedeはMicrosoftのチャネルを利用して、自社技術をMicrosoftのパートナーや顧客に提供したい考えだ。既にHP、Microsoftと協力してMicrosoftの新製品を大手金融サービス顧客のニーズに合わせている。

» 2006年07月19日 18時05分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 Digipede TechnologiesはMicrosoftのスケールアウトとグリッド対応.NETアプリケーションのための秘密兵器かもしれない。また同社はMicrosoftのデベロッパーの波に乗りたい考えだ。

 DigipedeのCEO(最高経営責任者)ジョン・パワーズ氏は、Digipede Networkは.NET開発者が1台のマシンで走るアプリケーションを書くのと同じ方法でグリッド環境に対応したアプリケーションを書けるようにすると語る。

 実際、Digipedeの技術はMicrosoftの一部の.NETエバンジェリストの間で有名になっており、彼らはDigipedeを賞賛しているとパワーズ氏は言う。さらにDigipedeはMicrosoftのチャネルを利用して、自社技術をもっとMicrosoftのパートナーや顧客に提供したい考えだという。

 「Microsoftは多くのチャネルを持っている」とパワーズ氏はeWEEKの取材に応えて語った。「.NETエバンジェリストは当社のソリューションの唱道者だ。彼らには、Microsoftのアーキテクトや開発者がアプリケーションを多数のマシンにスケールアウトするのを当社が手助けできることが分かっているからだ」。同氏は、さらなるMicrosoftパートナーとの出会いを求めて7月11〜13日にボストンで開かれたMicrosoft Worldwide Partner Conferenceに参加した。

 「Microsoftのチャネルと仲良くしたい。当社はほかのISV(独立系ソフトベンダー)と協力してきた。これからはインテグレータやハードメーカーと、顧客のグリッド対応を支援するために提携しようとしている」(同氏)

 6月21日にニューヨークで開かれたSIA(Securities Industry Association)Technology Management Conferenceで、Microsoftとそのパートナー(Hewlett-Packard(HP)、Digipedeなど)は、Microsoftが言うところの「将来の標準モデリング・トレーディングプラットフォームとなり得るもの」をデモした。

 パワーズ氏は、DigipedeはHPの業界標準サーバチーム、Microsoftの金融サービス部門と協力して、Windows Compute Cluster ServerなどMicrosoftの新製品を大手金融サービス顧客のニーズに合わせていると語る。

 またパワーズ氏は、.NET開発者にDigipede Network Developer Editionにもっと目を向けてもらうため、同製品を無償でリリースすることも明らかにした。

 「特別なのは、.NETオブジェクトが実行されてから開始地点に戻れるようにオブジェクトを分散できる機能だ」(同氏)

 「当社のグリッドコンピューティングのアプローチにおいて最も重要なのは、開発者のアプリケーションへのアプローチを強制的に変えさせないことだと思う」とDigipedeのクライアントサービス担当副社長ネイサン・トゥルーブラッド氏は語る。「これまでのグリッド環境とパラレルプログラミング環境では、開発者が追加のコンピューティングパワーを利用するために新しいプログラミングアプローチを採用しなくてはならなかった」

 さらにDigipedeのオブジェクト指向アプローチ――開発者は単にリモートで実行するオブジェクトを指定すれば、Digipede Network and Digipedeが後の面倒を見てくれる――は、開発者が基盤やWebサービスなどのことを考えなくても拡大したスケーラビリティを活用できるということになると同氏。

 「彼らは既存コードを作り直したり、大幅に変更したりしなくても、当社が提供するスケーラビリティを活用できる」(同氏)

 パワーズ氏は、開発者はわずか20行のアプリケーションを書いて、Digipede Networkを使ってそれをスケールアウトできると語る。ただし、「これは魔法ではない。個々のタスクに分割できるアプリケーションが必要だ」という。

 「ほかにも.NETアプリケーションを分散化する方法はあるが、何が競争上のアドバンテージになるのかではなく、分散コンピューティングの心配をしながら時間と知識を投じる理由があるのか」(同氏)

 またパワーズ氏は、Digipedeは新規の大手顧客2社、金融サービス会社のSmith Breeden Associatesと医療研究所のFriedrich Miescher Instituteを明らかにした。

 Digipedeの担当者は、同社の技術は新しいアプリケーションのためだけのものではなく、旧世代のレガシーアプリケーションもサポートできると語る。

 トゥルーブラッド氏は、DigipedeはVisual Basic、C++、COM(Component Object Model)など既存のMicrosoftの開発技術との後方互換性を確保するために努力してきたと言う。「つまり、Digipede Networkはレガシーコマンドラインアプリケーション、COMコンポーネント、VBアプリケーションなどを分散できると同時に、当社の.NET APIを使ったオブジェクトのより優れたスケーラビリティへの移行パスを提供するということだ」

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