グラフィック強化でExcel 2007はどう進化したか?(4/4 ページ)

» 2006年07月20日 07時00分 公開
[Rob Helm,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版
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Officeファミリーで最も大きな変更に

 全体として、Excel 2007は評価に値する製品となっている。SharePoint ServerやSQL Server Analysis Servicesなど、相補的なサーバを導入していない企業にとっても同様だ。またExcelは、Office 2007の新しいユーザーインタフェースとファイルフォーマットを採用した4つのアプリケーション(Access、Excel、PowerPoint、Word)のなかでも、最も大きな変更が施されているクライアントであるため、Office 2007のパッケージを全体として評価したい企業にとっては、Excel 2007が良い出発点となるだろう。

 Excel 2007ではおそらく、熟練ユーザーはこれまでよりも手早くプレゼンテーション用のグラフやスプレッドシートを用意できることになるだろう。また、テーブル数式や名前のデバッグなどの機能は、複雑なモデルの保守に役立つはずだ。非常に大きなスプレッドシートモデルや計算集約型のスプレッドシートモデルを使っている熟練ユーザーにとっては、マルチスレッディングと大容量メモリのサポートが役立つだろう。Excel 2007の新しいユーザーインタフェースでは、使い慣れた機能の多くが配置換えされているため、熟練ユーザーは当初は面食らうだろう。だがExcel 2007では、キーボードのショートカットも含め、これまでのバージョンで提供されてきた機能はほぼすべて維持されている。

 一方、それほど熟達していないExcelユーザーは、新しいユーザーインタフェースのおかげで、これまでよりも簡単にグラフ機能やデータ管理機能を利用できることになる。新しい機能ではないものの、ユーザーはこうした機能をこれまでよりも有効に活用できるはずだ。

 だが、改善点には幾つかマイナスの側面もある。Excelのグラフ機能と条件付き書式は本質的に複雑であるため、分かりやすいドキュメンテーションやトレーニング無しでは、たとえ熟練ユーザーであっても、各機能の使い分けに苦労するだろう(例えば、グラフ用の「テーマ」タブ、「デザイン」タブ、「レイアウト」タブ、「書式」タブの使い分けなど)。

 またExcel 2007を使う企業は、クイックフォーマットなど各種のスタイル要素が最新のグラフィカル設計の時流に取り残されないよう留意する必要がある。さもなければ、ユーザーはそうしたスタイル要素を出発点として使わなくなるだろう。また、Excel 2007のデータプレゼンテーションは人々の的確な判断力を鈍らせる可能性もある。Excel 2007の新機能を駆使して作成された美しい書式のグラフやワークシートによって、ユーザーははからずも真実を曖昧にしてしまう可能性がある。

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