「Montecito」はItaniumにとって第2のチャンスとなるか?(3/4 ページ)

» 2006年07月20日 18時25分 公開
[Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK

Intelの楽観的予測

 IntelのXeonとAMDのOpteronプロセッサが、バージョンアップを重ねるたびにスケーラビリティとパフォーマンスを改善する中で、ゲルシンガー氏はItaniumがさらに脇に追いやられるのを心配しているのだろうか。

 「われわれは多くの人々が利用しているのと同じデータに頼っており、皆と同じ状況が見えている。すなわち、500億ドルというサーバ市場がそこに存在し、Itaniumが毎年10%のペースで成長しているということだ。Itaniumシステムの売り上げは年率25%余りのペースで伸びている。Xeonは異なる市場セグメントを狙った製品だ」とゲルシンガー氏は話す。

 「HPはさらに多くのサーバでItaniumを採用しようとしており、NECなどの企業もRISCベースのプロプライエタリマシンをItaniumベースに移行しつつある。また、われわれはSunとIBMから収益を奪いつつある。総合的に見れば、これは今後長期間にわたって存在する巨大な市場だ」(同氏)

あまりにも楽観的?

 カリフォルニア州ヘイワードにあるPund-IT Researchのアナリスト、チャールズ・キング氏によると、Itaniumに関するIntelの見方はあまりにも楽観的だという。

 「彼らは、実際には期待を裏切ってきた製品に対して平静を装おうとしている」とキング氏はeWEEKの取材で語った。

 「Itaniumが最初に登場したとき、業界標準の64ビットプロセッサになるという触れ込みだった。しかしそうはならなかった。現状では、HPがItaniumチップ全体の80%ないし90%を自社のサーバで使っている。このチップの成否に対して最大の利害を有しているのがHPであることは明らかだ。それ以外のほとんどのメーカー(NECや富士通など)は、ほかのプロセッサをベースとしたサーバを開発している」(キング氏)

 キング氏によると、Intelにとって有利なシステム売り上げデータは、HPにとっても朗報だという。

 「HPは実際、Itaniumシステム以外のエンタープライズサーバを持っていない」と同氏は指摘する。

 各メーカーが各四半期に販売するItanium搭載サーバの総数は、約8000〜9000台であることが市場調査で示されている、とキング氏は話す。「Itaniumの研究開発に何億ドルも投入したIntelにとって、これはかなり少ない収穫だ」(同氏)

 キング氏によると、Intelがこれらの新プロセッサで本当に成功するためには、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)の支持を取り付ける必要があるという。

 「Intelはこれまでずっと、彼らの支持獲得に苦労してきた。ISVにとって、RISCベースのPowerやSPARCチップから、Itaniumのようなまったく新しいアーキテクチャーに移行するためには、構成の変更など膨大な追加作業が必要となる。例えば、Itaniumではエミュレーションモードで動作するアプリケーションもあるが、これでは一部のエンタープライズレベルの要件を満たすことはできない」とキング氏は指摘する。

 キング氏は、Montecitoの発表は既存のItaniumユーザーにとっては朗報だろうとしながらも、「市場でのItaniumの立場を劇的に好転させるような材料は見当たらない。今後、長い時間をかけて、少しずつ市場シェアを拡大していくものと予想される」と話している。

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.

注目のテーマ