IPネットワークにストレージのデータを流す――IP-SANを実現するiSCSIのテクノロジファイバチャネルか?IPか? SANテクノロジー最前線(2/3 ページ)

» 2006年07月21日 08時00分 公開
[ITmedia]

閑話休題:SANとNASの違い

 IPネットワークを利用するストレージとして、従来よりNASがある。NASは、Network Attached Storageという名が示すとおり、LANにストレージが直結されたものに見えるが、実際にはファイルサーバ機能に特化したアプライアンスであり、ストレージだけでなくNICや管理用ユーティリティなどがオールインワンで搭載されている。ファイルサーバとして稼働するので、NASにはファイルシステムがあらかじめ設定されている。ネットワーク上のコンピュータからは、通常のファイルサーバのように共有ディスクとして利用する(図4)。

図4 NASとSANの比較。NASは、ストレージがファイルシステムを持っており、実際にはファイルサーバ専用アプライアンスとして機能する

 NASには、手軽に設置できる、異種サーバ同士でファイル共有が可能、などの特徴がある。しかし、ファイルをブロック転送するSANとは異なり、ファイル単位で転送するNASは、パフォーマンスの面でSANの足元にも及ばない。また、LANのトラフィックによって性能が変わることもある。

 一方のSANは、NASに比較してパフォーマンスが優位であるほか、ストレージ統合など利用効率が向上できたり、管理やバックアップが一元化できたりといったメリットがある。しかし、SANは技術的なハードルが高く、NASとは違って異なるストレージベンダー間の相互接続性にも課題がある。さらに、コスト面では、低価格化したIP-SANであっても、NASに比較するとかなり高価だ。

 しかし、同じストレージであっても、NASとSANは相反するものではなく、それぞれ適材適所に導入すべきものだと考えられている。IP-SANが主流になりつつある現在、IPネットワークに接続するNASを統合して扱えるソリューションも登場している。

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