関心と認識の高まりに連れて、市場は急速に拡大中ヒット商品分析:アイデンティティ管理ソリューション1(1/2 ページ)

日本版SOX法への関心の高まりとともに、ID管理ソリューションに対するユーザーの関心度が急激に高まっている。この市場を俯瞰するとともに各ベンダーの動きを探る。

» 2006年07月21日 16時01分 公開
[越後耕一,アイティセレクト]

 ベンダーが日本版SOX法との絡みなどでID管理に関するセミナーを開催すると、情報システム部門だけではなく経営企画の担当者も参加するケースが多くなり、ほとんどが満員になるという盛況ぶりだ。

 もっとも、それについては、富士キメラ総研第二研究開発部門アシスタントディレクター・山本貴史氏はこう見ている。「セミナーに参加して熱心に勉強する人は間違いなく増えていますが、まだ勉強段階という感じであって、その後が続かない」

コンプライアンスが成長の最大の要因

 確かに本格的な需要にはまだ結びついていないかも知れないが、ID管理ソフトの市場が急成長しているのは事実だ。IDC Japanの調査によると、05年の対前年比の成長率は20%を超えている。IDC Japanリサーチ第2ユニット(ソフトウェア/ITサービス)グループディレクター・井出和之氏は、「IT関連ソフトで2ケタも伸びるものは本当に少ない」と言う。しかも、同社では06年の伸び率も10%台の後半と予測しているのだ。

 では、その急成長を支えている要因は何だろうか。井出氏は「ベースになっているものはいくつかあるが、最大の要因はコンプライアンスだ」と分析する。「コンプライアンスをきちんと実践するためには、誰が、いつ、何をどうしたか、ということを証跡として残さなければいけない。そのためには、統合化したアイデンティティ管理の仕組みが絶対に必要だということだ」

 前出・山本氏も「日本版SOX法が施行されると当然、内部統制をしなければならなくなるので、法的強制力が需要を喚起する可能性がある」と見ている。「今までは『ちょっと高いから』と言って手を拱いていた企業が、『やらなきゃいけない』という気持ちになっている」

 企業にとっては、ID管理はもはや待ったなしに必要なものになっている。その危機意識が、確実に市場を成長させているのだ。企業にとって絶対に不可欠なものだというところが、他のソフトとは明確に違うところだ。だからこそ、ベンダーとしても力が入るところなのだ。

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