オープンなグラフィックスカードが現実のものにTrend Insight(2/2 ページ)

» 2006年07月25日 08時00分 公開
[Joe-'Zonker'-Brockmeier,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine
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ライセンス計画

 現時点では、OGPで開発されたものはすべてフリーソフトウェアとしてリリースされる予定である。ミラー氏は、最初はGNU Lesser General Public License(LGPL)を使用することも考えたが、コミュニティーメンバーの意見を入れて、GNU General Public License(GPL)を使用することにしたと語っている。「コミュニティーのメンバーが、すべてをGPLの下に置くことのメリットをわたしに説明してくれた。GPLは、無料使用しているユーザーに自分の開発成果をコミュニティーに寄付するよう求めることで、コミュニティーを保護している」。

 ミラー氏は、デザイン全体をGPLの下で公開することには「少々リスクがある」と語っている。ほかのベンダーがこのデザインを丸ごと利用し、「驚くような低価格で売り出して、われわれを倒産に追い込む可能性もあるからだ」。

 「低価格の製品が登場するという点だけを見れば、これはコミュニティーにとってプラスである。しかし、もしわたしがここで十分な利益を獲得できず、今後のチップ開発に投資する資金が得られなかったとしたら、これはコミュニティーにとってマイナスである。コミュニティーのメンバーの多くは、後でリリースする予定の Hardware Description Languageの一部をエスクローに預託したことは賢明な判断だと同意してくれた。これにより、われわれは当プロジェクト初のグラフィックスカードであるOGC1から、OGC2開発のための初期投資と資金を回収できることだろう」。

 さらにミラー氏は、二本立てのライセンス方式を用いる予定であることを明らかにした。「われわれの技術を使用するが自分の開発成果を公開したくはない、というユーザーに対しては、その権利を認める代わりに使用料を要求する。これによって得た利益を、われわれはさらなる開発に当てることができる」。

 OGPにとって大きな課題は資金集めである。普通なら、デスクトップLinuxの成功に利害関係を持つNovellやRed Hatなどの企業、あるいはLinuxユーザー群に製品を提供しているハードウェアベンダーなどが、このプロジェクトに関心を持って支援してくれるのではないかと思うところだ。しかし、ミラー氏やほかの人々がこれらの企業に話を持ちかけても、はかばかしい成果は得られなかった。

 「われわれが学んだのは、オープンソース企業の財布のひもは非常に固くなっており、たいていの人は、実際のハードウェアを完成させて彼らに見せるまでは真剣に取り合ってくれないということだった。彼らが求めている結果であり、可能性ではない。2006年の8月または9月に実際の製品をリリースするまでは、われわれはただの可能性にすぎないというわけだ」。

 だが、彼らはそれで損をしている、とミラー氏は最後に述べた。「慎重なのはよいことだが、彼らがこれだけ大きな投資機会をみすみす失っているのは残念だ」。

 OGPは開発者の助けも必要としている。DDRメモリコントローラ、PCIホストインタフェース、ビデオコントローラなど、幾つかの部分で開発者が必要であるとミラー氏は述べている。ミラー氏によれば、興味のある人はOGPのメーリングリストに参加し、どのような作業があるのかを尋ねてみてほしいということだ。

 ほかのプロジェクトの開発者(例えばX.orgやLinuxカーネルの開発者など)との協力という点では、このプロジェクトは十分な関心を集めているとミラー氏は語っている。

 「Linuxカーネルの開発者はドライバの開発に協力してくれており、ほかにも数多くの開発者がX11およびMesaのドライバを開発している。さらに言えば、わたしはX11のドライバ開発に手を出しており、それによって向こうのプロジェクトにも貢献することができている。また、わたしのパートナー、アンディ・フォン氏はカーネルドライバのグルである。オープンアーキテクチャのおかげで、OGAベースのカード用のドライバ開発は非常に簡単なものになるだろう」。

 また、これはLinuxだけの話ではない。ミラー氏によれば、OGPは、「このプロジェクトから利益を得る可能性があるすべての人」をターゲットにしている。「現在はLinux x86 PC上で正しく動作するように開発を進めているが、ほかにも数々のプラットフォーム(Solaris、Tru64、AIX、HP-UXなど)やアーキテクチャ(SPARC、Alpha、PowerPC、PA-RISCなど)のためのグラフィックスカードの実験を数多く行っており、それらを実際に機能させるために何が必要かということも既に把握している」。

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