新人君とはこんなにも罪作りなものさ女性システム管理者の憂鬱(3/4 ページ)

» 2006年07月25日 11時00分 公開
[高橋美樹,ITmedia]

 移転作業は、システム管理者にとって年に一度あるかないかの祭りのような大仕事だ。数カ月前から綿密に段取りをして、移転当日は土、日ですべての搬出、搬入を行う。必要であれば、徹夜による設定を敢行する。そうして、月曜日の朝にはそんな土、日の騒ぎなど知るよしもない多くのユーザーが何事もなかったかのようにPCを立ち上げログインする。

 その平和な光景を目にするとき、システム管理者は言葉にできないほどの達成感を味わえるのだ。その一瞬の喜びのために、準備には相当の時間を掛ける。抱えるユーザー数やサーバ数が多ければ多いほど、準備にかかる時間も多くなる。苦労が多ければ多いほど達成感も大きくなるのであった。

 移転が近づくとともに同僚は忙しさを増し、いつもの愚痴の電話もかかってこなくなった。そして移転の日、「今ごろ同僚は頑張っているんだろうな」と頭の片隅で思いながら、歯医者に行ったり、洗濯をしたりと、わたしは週末を過ごし、月曜日の朝を迎えた。

心配になって電話してみた

 その日は、夕方になる前にこちらから同僚に電話を入れてみた。

同僚:「新人君に任せたファイルサーバのデータがおかしくて、今重要データに全員がアクセスできる状態になっている。落ち着いたらこっちから電話する」

 あっさりと電話を切られてしまった。何があったのだろう? こちらの仕事が終わってからでも手伝いに行こうか、そんなこともふと頭をよぎった。同僚から電話が入ったのは、既に夜8時を回っていた。その声はかなり疲れきっていた。

同僚:「バックアップしてあるデータは大丈夫だったんだけど、アクセス権がね。移転前のファイルサーバは、リソースドメインのローカルグループにアカウントドメインのユーザーアカウントを入れて、アクセス権を付与していたんだよね。リソースドメインが消えた後では、そのローカルグループはどこにも存在してなかった」

わたし:「えー! アクセス権を付与すべきオブジェクトが消滅したってこと?」

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